evidence-based medicine

開放隅角緑内障の眼圧上昇とカフェイン

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ブルーマウンテンズ Blue Mountains は、オーストラリア シドニーの西方 約100Kmに位置する都市で、眼疾患に関する世界的に有名な疫学調査 the Blue Mountains Eye Study が継続的に実施されているところです。
   » http://en.wikipedia.org/wiki/Blue_Mountains
眼圧が上昇しやすい眼所見や緑内障の手術治療歴がなく、薬物治療中でない参加者を対象とした疫学調査結果です。

眼圧に対するカフェインの影響: ブルーマウンテンズ アイ スタディー
J Glaucoma. 2005 Dec;14(6):504-7.
Effects of caffeine on intraocular pressure: the Blue Mountains Eye Study.
Chandrasekaran S, Rochtchina E, Mitchell P.
Centre for Vision Research, Department of Ophthalmology and the Westmead Millennium Institute, the University of Sydney, Australia.
[要約の邦訳]
目的: コーヒー、カフェイン摂取量と眼圧との関連性を調査する。
対象と方法: ブルーマウンテンズ眼研究は、オーストラリア、シドニー西で 49才以上の参加者 3654名を調査した。詳しい病歴問診表には、コーヒーとティーの一日あたりの平均摂取量も含まれていた。目の検査は、Goldmann 圧平式眼圧計と自動視野計も行った。緑内障治療薬を使用中であったり、白内障または緑内障の手術を受けた既往があったり、色素性緑内障/色素散乱症候群 pigment dispersion の所見を有する参加者は除外した。平均および最高眼圧の測定値が用いられた。
結果: 多変量補正後、規則正しくコーヒーを飲んでいると報告した開放隅角緑内障を有する参加者 (19.63 mmHg) はコーヒーを飲んでいないと答えた参加者 (16.84 mmHg)より平均眼圧は有意に高かった (P = 0.03)。年齢、性別、および収縮期血圧 (SBP)による補正後、一日あたりカフェイン 200mg以上を消費する参加者 (19.47 mmHg)は、200mg未満を消費する者 (17.11 mmHg)より平均眼圧は高かった (P= 0.06)。この関連性は多変量補正後には統計的な有意差に至らなかった。高眼圧症 (OH)、および開放隅角緑内障のない参加者では、コーヒーまたはカフェイン消費量と高眼圧との関連性はなかった。
結論: 開放隅角緑内障を呈する参加者において、本研究 the Blue Mountains Eye Studyは、コーヒー消費/高カフェイン摂取と眼圧上昇との関連性 (陽性・断面的 positive cross-sectional)を確認した。

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2006/02/20 at 16:58

カテゴリー: 緑内障

Chlamydia trachomatis-tryptophan synthase 遺伝子と臓器向性

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クラミジア トラコマティス Chlamydia trachomatis の組織親和性 tissue tropism (または 臓器向性 organotropism)について、最近の知見をお知らせいたします。

流行性トラコーマ endemic trachoma は、(かつて日本国内で流行し)現在でも発展途上国の第2,3位の失明原因です。クラミジア トラコマティス Chlamydia trachomatisの中の血清型 A、C、Baなどが原因菌ですが、(下記の) trpBA遺伝子活性がないものは、生殖器での持続感染は成立しません。
一方、トリプトファン生合成酵素活性を有する生殖器系分離株 (トラコーマ型 B型も含まれます)は、性感染症のほか、新生児、乳児、成人のクラミジア結膜炎、肺炎、口腔・鼻腔・咽頭炎などを来たします。

組織親和性・臓器向性に関係する遺伝子:
眼トラコーマ ocular trachoma 分離株は、トリプトファン シンターゼ (trpBA)遺伝子の不活性化変異がみられます。生殖器 (性器) genital分離株はすべて機能的な酵素活性を有していました。よって、生殖器に常在する細菌が産生するインドールを利用しトリプトファンを合成するため (レスキュー・メカニズム)、宿主が産生するインターフェロン γ (interferon IFN-gamma)に対抗し、持続感染が可能となります。
インターフェロン γ の細胞障害作用は、トリプトファン異化代謝酵素を誘導し、トキソプラズマ原虫 Toxoplasma gondii やクラミジア トラコマティスなど細胞内で感染する微生物に阻害的に作用することであるといわれています。

J Clin Invest. 2003 Jun;111(11):1757-69.
Polymorphisms in Chlamydia trachomatis tryptophan synthase genes differentiate between genital and ocular isolates.
Caldwell HD, Wood H, Crane D, Bailey R, Jones RB, Mabey D, Maclean I, Mohammed Z, Peeling R, Roshick C, Schachter J, Solomon AW, Stamm WE, Suchland RJ, Taylor L, West SK, Quinn TC, Belland RJ, McClarty G.
Laboratory of Intracellular Parasites, Rocky Mountain Laboratories, National Institute of Allergy and Infectious Diseases, NIH, Hamilton, Montana, USA.

The fact that ocular serovars (serovar B) isolated from the genital tract were found to possess a functional synthase provided further persuasive evidence of this association.

生殖(器)系から分離された眼トラコーマ型の血清型 (serovar B)株が機能的シンターゼを有していることが発見された事実は、(訳者注: トリプトファン生合成とインターフェロン ガンマ 耐性との) 関連性について、さらに説得力のあるエビデンスを与えた。

J Clin Invest. 2003 Jun;111(11):1757-69.
New insights into a persistent problem — chlamydial infections.
Morrison RP.
Department of Microbiology, Montana State University, Bozeman, Montana 59717, USA.

FASEB J. 1991 Aug;5(11):2516-22.
Relationship between interferon-gamma, indoleamine 2,3-dioxygenase, and tryptophan catabolism.
Taylor MW, Feng GS.
Department of Biology, Indiana University, Bloomington 47405.

流行性トラコーマを来たす血清型 Bの変異株は、現在でも日本人妊婦の子宮頸管から低頻度 (2.8%)ですが検出されています。

FEMS Immunol Med Microbiol. 2000 Jan;27(1):35-41.
Analysis of Chlamydia trachomatis serovars in endocervical specimens derived from pregnant Japanese women.
Ikehata M, Numazaki K, Chiba S.
Department of Pediatrics, Sapporo Medical University School of Medicine, S.1 W.16 Chuo-ku, Sapporo, Japan.
[要約の抄訳]
無症状の日本人妊婦の子宮頸管から採取された218検体中のクラミジア分離株血清型 serovar

D 19.3%
E 24.3%
F 11.0%
G 17.9%
H  6.9%
I  6.9%
J  2.3%
K  4.1%
複数同時 1.8%
B 変異株 2.8%
D/IC-Cal-8 2.3%

他の参照ページ: 国立情報学研究所 学協会情報発信サービス
性器クラミジア感染症(Genital Chlamydial Infection)
» http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsb/infect/shikkan/1402seik_1.html

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2006/02/19 at 16:52

カテゴリー: STD

Marcus Gunn 現象

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マーカス・ガン現象 Marcus Gunn phenomenon (下顎眼瞼連合運動現象 jaw-winking phenomenon) は片側の先天性眼瞼下垂と下顎の運動に伴う「下垂したまぶた」の後退が見られる先天異常です。通常は片側性、散発性ですが、両側性、家族性発症の報告もあります。先天性の三叉神経-動眼神経間の共同運動 trigemino-oculomotor synkinesis のため、口を大きく開けたり、口を左右に動かすと、まぶたが開きます (新生児期、乳児期に顕著といわれており、授乳中この症状に気づかれることがあります)。病名として、「現象 phenomenon」ではなく、「症候群 syndrome」を用いることもあります。「頤瞬現象」という日本語名もあります。

マーカス・ガン現象. 71症例のレビュー
Ophthalmology. 1984 Jan;91(1):27-30.
The Marcus Gunn phenomenon. A review of 71 cases.
Pratt SG, Beyer CK, Johnson CC.
[要約の邦訳]
マルクス・ガン現象を伴う 71症例の臨床所見、自然経過、病理学的所見、治療についてレビューした。本症候群を有する症例では、弱視 amblyopia (59%), 両上転筋麻痺 double elevator palsy (25%), 不同視 anisometropia (25%), 上直筋麻痺 superior rectus muscle palsy (23%) の頻度が有意(訳者注: に多い)ことがわかった。長期追跡調査では、年齢とともに良くなった症例はなかった。手術を要した大多数の患者において、患側の上眼瞼挙筋切除術 levator excision および両側の前頭筋利用吊り上げ術 frontalis suspension の (訳者注: 併用)手術を推奨する。

中等度から高度の Marcus-Gunn 下顎眼瞼連合運動性下垂の治療
Ophthalmology. 1999 Jun;106(6):1191-6.
Management of moderate-to-severe Marcus-Gunn jaw-winking ptosis.
Khwarg SI, Tarbet KJ, Dortzbach RK, Lucarelli MJ.
Department of Ophthalmology and Visual Sciences, University of Wisconsin-Madison Medical School, 53792, USA.
[要約の邦訳]
目的: 中等度から高度の Marcus-Gunn 下顎眼瞼連合運動性眼瞼下垂に対する上眼瞼挙筋切除術および前頭筋利用吊り上げ術の手術成績を報告する。
デザイン: 後向き・非比較の症例調査.
参加者: 中等度から高度の Marcus-Gunn 下顎眼瞼連合運動性眼瞼下垂を伴った 24症例 (片側性 21例, 両側性 3例) は、1978年から1997年の期間中、一人の術者により外科的治療を受けた。
介入方法: 患側または両側の上まぶたの眼瞼挙筋切除術 levator excision の後、両側の前頭筋利用吊り上げ術 frontalis suspension が行われた。
主要な結果の判定法: 下顎眼瞼連合運動 jaw-winking の術後改善度を決定した。眼瞼下垂手術の結果は普段の上眼瞼の高さと左右対称性に基づいて、good, fair, poor と評価した。
結果: 術後の追跡調査期間は 6か月から 153か月, 平均 36.9か月であった。下顎眼瞼連合運動の見られた 27眼瞼、全例に上眼瞼挙筋切除術を施行した後、 10眼瞼 (37.0%)では jaw-winking が完全に解消し、13眼瞼 (48.2%)は側方への下顎運動時のときだけ軽度 (1 mm以下) の瞬目が見られた (機能的および整容的に問題なかった)。4眼瞼 (14.8%)については、結果が記録されていなかった。両側の前頭筋利用吊り上げ術と患側の上眼瞼挙筋切除術の両手術を受けた 5症例のグループでは、最終結果は good 2例 (40%), poor 3例 (60%)であった。両側の上眼瞼挙筋切除術を受けた 19症例では、最終結果は good 13例 (68.4%), fair 6例 (31.6%)であった。
結論: 中等度から高度の下顎眼瞼連合運動性眼瞼下垂に対して、両側上眼瞼挙筋切除術の後、両側の前頭筋利用吊り上げ術を行う手術は、jaw-winkingと眼瞼下垂の両方に対して満足できる矯正が得られた。

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2006/02/17 at 16:58

カテゴリー: 先天異常

体位を考慮した眼圧日内変動 reproduced diurnal IOP

眼科専門雑誌 Archives of Ophthalmology 2006年2月号に掲載された日本人研究者による論文です。
眼圧は体位によって異なるため (座位より仰臥位が高いといわれています)、睡眠中の仰臥位と覚醒中の座位での眼圧値を組み合わせた患者ごとの眼圧日内変動を考慮する必要があると述べられています。患者の体位により再現/再生された眼圧日内変動は reproduced diurnal IOP (intraocular pressure)と命名されています。

体位による再現 Reproduced 日内変動における睡眠中の眼圧ピークの増加
Arch Ophthalmol. 2006;124(2):165-168.
原著全文
» http://archopht.ama-assn.org/cgi/content/full/124/2/165
Increase of Peak Intraocular Pressure During Sleep in Reproduced Diurnal Changes by Posture
Takeshi Hara, MD; Tsutomu Hara, MD; Tadahiko Tsuru, MD
Author Affiliations: Department of Ophthalmology (Drs Takeshi Hara and Tsuru), Jichi Medical School, Tochigi, Japan; and Hara Eye Hospital (Drs Takeshi Hara and Tsutomu Hara), Utsunomiya, Japan.
[論文の抄訳・引用(訳者注を含む)]

未治療 (訳者注: 一般的には治療前や精密検査のため一時休薬した状態を言いますが、原著では休薬基準が示されていないため、治療前の症例と考えられます) の原発性開放隅角緑内障患者のうち、診療時間中の測定眼圧が 21mmHg未満の患者を対象として、入院の上、眼圧日内変動を測定しました。
眼圧測定は、正午から開始し、翌日の正午までの24時間で合計 12回測定しました。

The IOP measurements were recorded at noon; 2, 4, 6, 8, and 10 PM; midnight; 3, 6, 8, and 10 AM; and noon the following day.

眼圧はモバイル式非接触眼圧計 (PULSAIR 2000; Keeler Co, Windsor, England) で測定しました (訳者注: 参照ページ http://www.keeler.co.uk/tonometers/instrumentfocus.htm)。

The IOP was measured with a mobile noncontact tonometer (PULSAIR 2000; Keeler Co, Windsor, England).

入院時、彼または彼女の就寝する時刻、起床する時刻を患者ごとに確認しました。この確認によって、患者が覚醒中であるか、睡眠中であるかに基づいて、12回の眼圧測定時点を分類可能です。これらデータを使用し、著者らは、患者ごとの体位を考慮した新しい眼圧日内変動 reproduced diurnal IOP (訳者注: 再現/再生された眼圧日内変動 というデータ・概念) を作り出した。reproduced diurnal IOP では、もし測定時点が患者覚醒中の時間帯に相当すれば、その時点の眼圧値として座位の眼圧を選択しました。

At the time of hospitalization, we confirmed with each patient the time he or she went to bed and the time he or she arose. Because of this confirmation, 12 measurement time points can be classified on the basis of whether each patient was awake or asleep. By using these data, we made a new diurnal IOP change, reproduced diurnal IOP, that considered each patient’s posture. In the reproduced diurnal IOP, if the measurement point belonged to the period when the patient was awake, the sitting IOP was selected as the IOP value representative of that time.

[結果]
眼圧日内変動の評価のために使用したデータは、左眼の眼圧値だけですが、paired t test (対応のあるt-検定)とよばれる統計的検討にて、患者ごとの左右眼の眼圧に有意な差はなかった。

We found no significant change in IOP values between the left and the right eyes of each patient (P = .52, paired t test).

Figure 2. Reproduced diurnal intraocular pressure のピークは午前3時に記録した。
» http://archopht.ama-assn.org/cgi/content/full/124/2/165/ECS50023F2

Reproduced diurnal intraocular pressure (IOP) changes ………, the peak reproduced IOP was recorded at 3 AM.

reproduced diurnal IOP は、午前零時, 午前 3時, 午前 6時に高くなる傾向がありました。

The measurement times at which the peak sitting IOP was recorded for each patient were distributed throughout the day and night (Figure 3), but the reproduced diurnal IOP tended to be high at midnight and at 3 and 6 AM (Figure 4).

この臨床研究にて、座位単独であれば 21mmHg以上の眼圧値は、5眼 (3%)のみでしたが、reproduced IOPでみると21mmHg以上の眼圧値は 29眼 (20%)でした。29眼 全症例において睡眠中に眼圧値がピークとなりました。

In this study, 29 eyes (20%) had a reproduced IOP of 21 mm Hg or greater compared with only 5 eyes (3%) with an IOP of 21 mm Hg or greater when the patients were sitting only. All of the 29 eyes had IOPs that peaked during sleep.

[コメント]
両方の体位から (訳者注: 座位と仰臥位で得られた眼圧値) の組合わせ数値データに基づいた著者らの reproduced iurnal IOP では、全患者平均として、ピーク値は 午前 3時、トラフ(最低) 値は 午後 8時でした。全 148症例(訳者注: 148眼)では、座位のみであればピーク眼圧の時刻は 24時間の時間帯に等しく分散していましたが、reproduced IOPでみるとピーク眼圧は睡眠中に集中していました

However, in our reproduced diurnal IOP, which was based on the combined values from both postures, the peak occurred at 3 AM and the trough at 8 PM in the averaged data from all subjects. In all 148 patients, the times at which the peak IOP was recorded were scattered equally across 24 hours when the patients were sitting only, but the peak IOPs were concentrated during sleep for the reproduced IOP.

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2006/02/15 at 18:29

カテゴリー: 緑内障

涙腺の病変

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米国 Wills Eye Hospital は1832年に創設された眼科病院で、腫瘍学を含む数多くの論文発表があります。
  » http://www.willseye.org/about/history/
当エントリーでは、ドイツ Fichter Nらの最新の総説論文も引用します。

涙腺の病変 142症例の臨床病理学的レビュー
Ophthalmology. 1989 Apr;96(4):431-5.
Clinicopathologic review of 142 cases of lacrimal gland lesions.
Shields CL, Shields JA, Eagle RC, Rathmell JP.
Oncology Service, Wills Eye Hospital, Philadelphia, PA.
[論文要約は下記とほぼ同じです]

涙腺病変のレビュー
Trans Pa Acad Ophthalmol Otolaryngol. 1990;42:925-30.
Review of lacrimal gland lesions.
Shields CL, Shields JA.
Ocular Oncology Service, Wills Eye Hospital, Thomas Jefferson University, Philadelphia, Pennsylvania.
[要約の邦訳]
1つの眼科大病院で25年間に行われた 涙腺生検 142検体をレビューした。涙腺病変の 78%は非上皮性起源で、原発性上皮性腫瘍は 22%に過ぎなかった。非上皮性病変は、炎症 (64%), リンパ系腫瘍 (14%)であり、一方、上皮性病変は、涙腺排出管嚢胞 dacryops(6%), 多形性腺腫 pleomorphic adenoma (12%), 悪性上皮性腫瘍 (4%)であった。これら結果は、引用されることの多い公式(教科書的な)見解「涙腺病変の 50%は原発性上皮性腫瘍であり、50%は非上皮性病変である」と相反する。

These results contradict the much quoted dictum that 50% of lacrimal gland lesions are primary epithelial tumors and 50% are nonepithelial lesions.

涙腺疾患
Ophthalmologe. 2005 Apr;102(4):399-423; quiz 424-5.
Diseases of the lacrimal gland
Fichter N, Schittkowski M, Guthoff RF.
Universitats-Augenklinik Rostock.
[要約の一部を引用]
多形腺腫 pleomorphic adenoma が除外できないとき、生検は禁忌で、被膜を含む完全な腫瘍摘出術が悪性形質転換の可能性や長期予後への悪影響を防止するために必要です。

When a pleomorphic adenoma cannot be excluded, biopsy is contraindicated and complete tumor excision with its capsule is necessary to prevent the possibility of malignant transformation and a negative effect on long-term prognosis.

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2006/02/11 at 17:14

カテゴリー: 眼窩

アデノウイルス結膜炎の迅速診断

免疫クロマトグラフィー法による迅速診断法の感度はアデノウイルス4型 (Ad4)では、およそ100%ですが、咽頭結膜熱の主要な血清型 Ad3では低い陽性率です。Ad8, Ad19, Ad37 などは重症の結膜炎を呈しやすいので、咽頭結膜熱とともに、臨床所見がポイントとなりそうです。一方、Ad4 によるアデノウイルス感染症では、結膜炎症状、全身症状は様々であるといわれていますので、迅速診断法による確定診断を推奨いたします。最近、新しい株による流行性角結膜炎のアウトブレークもみられていますので、ご注意下さい。
  » http://www.medqa.jp/2004/07/post_f1c2.html

10分免疫クロマトグラフィー法による結膜スワブを用いたアデノウイルス結膜炎の迅速診断
Ophthalmology. 1997 Aug;104(8):1294-9.
Rapid diagnosis of adenoviral conjunctivitis on conjunctival swabs by 10-minute immunochromatography.
Uchio E, Aoki K, Saitoh W, Itoh N, Ohno S.
Department of Ophthalmology, Yokohama City University School of Medicine, Japan.
[要約の抄訳]
95検体 (ポリメラーゼ連鎖反応 PCR法によるアデノウイルスDNA陽性サンプル)
[但し、特異度の検出のため、PCR法で確認された非アデノウイルス結膜炎サンプル 35検体を含む]
結果:
検査法: 感度, 特異度の順
免疫クロマトグラフィー法 (IC): 54.7%, 97.1%
酵素免疫測定法 (EIA): 50.5%, 100%
血清型別感度 (IC法):

Ad3 31% (« アデノウイルス 3型 PCR法陽性)
Ad4 100%
Ad7 60%
Ad8 67%
Ad37 59%

血清型別では、(アデノウイルス 7型を除いて) EIA法と同様の陽性率であった。

[訳者注] 参照ページ:
ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR)法
  » http://ja.wikipedia.org/wiki/PCR
免疫クロマトグラフィー法によるアデノウイルス抗原精密測定
「製品名:アデノチェック (角結膜上皮細胞)」
  » http://www.jaclap.org/newtests1997.html#19970701j
「製品名:チェックAd (咽頭粘膜上皮細胞)」
  » http://www.jaclap.org/newtests2001.html#20010201b

流行性角結膜炎. アデノウイルス検出
Ophthalmologe. 2005 Oct;102(10):968-70.
Epidemic keratoconjunctivitis. Detecting adenoviruses
Mielke J, Grub M, Freudenthaler N, Deuter CM, Beck R, Zierhut M.
Abteilung 2, Sektion fur Motilitatsstorungen, Universitats-Augenklinik Tubingen.
[要約の抄訳]
流行性角結膜炎 (epidemic keratoconjunctivitis EKC) と臨床診断した 75症例を対象とした。結膜を綿棒(スワブ)擦過した検体を用いた。
PCR法 : 25症例で adenovirus陽性
IC法「SAS Adenotest」: 18症例で adenovirus陽性 (PCR法陽性例のうち、7例は陰性)
偽陽性例はなかった。
IC法の感度 72%, 特異度 100%

流行性角結膜炎の迅速病因診断
Nippon Ganka Gakkai Zasshi. 1990 Aug;94(8):736-40.
Rapid etiologic diagnosis of epidemic keratoconjunctivitis
Aoki K, Noto K, Hasegawa I.
Aoki Eye Clinic.

[要約の抄訳]
臨床診断名; 流行性角結膜炎 (EKC), 咽頭結膜熱 pharyngeal conjunctival fever (PCF), 急性結膜炎 のうち、細胞培養法、enzyme-linked immunosorbent assay (Adenoclone)にてアデノウイルスが検出された 137症例 [それぞれの検出率; 86/114(75%), 26/50(52%), 25/89(28%)]のアデノウイルス血清型

Ad4 53%
Ad8 14%
Ad3 13%
Ad37 5%
Ad19 2%
Ad nontyped 12%

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2006/02/11 at 12:39

カテゴリー: 結膜炎

アデノウイルス結膜炎-誤診率

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流行性角結膜炎 (epidemic keratoconjunctivitis EKC) などの「アデノウイルスによる伝染性結膜炎」の臨床的特徴や診断法に関する情報提供サイトは数多く存在します。学校伝染病にも指定されているため、診断確定例、典型例についての理解はとても大切ですが、診断困難例や「誤診例」も少なくないことは余り知られていないようです。
医学文献検索サイト PubMedにてキーワード「アデノウイルス adenovirus 結膜炎 conjunctivitis 誤診 misdiagnosis」を入力し、過去40年余りの主要な発表論文を検索したところ、わずか 2編のみヒットしました。

1編は 多重PCR検査法 (アデノウイルス adenovirus, 単純疱疹ウイルス herpes simplex virus, クラミジア トラコマティス Chlamydia trachomatis に対する multiplex PCRと従来のuniplex PCRの検出感度比較) に関するものでした。
Invest Ophthalmol Vis Sci. 2000 Jun;41(7):1818-22.
Multiplex polymerase chain reaction for diagnosis of viral and chlamydial keratoconjunctivitis.
Elnifro EM, Cooper RJ, Klapper PE, Yeo AC, Tullo AB.
School of Medicine, The University of Manchester, United Kingdom.
[要約の邦訳は省略します]
参照ページ: ウイルス性結膜炎、急性ろ胞性結膜炎の病原体について
   » http://cgi12.plala.or.jp/yamamura/topics/index.cgi?page=30

他1編は、下記のとおり、イギリスの教育研究病院 teaching hospital の眼科で流行した EKC症例 38例の調査(監査)結果です。誤診率は、片眼発症 EKC患者では42%であったということです。残念ながら、これまで国内外において、このような伝染病に関する「誤診率」の報告はほとんどなされていないようです。

流行性角結膜炎–発生は流行性(集団発生)でなければならないか?
Eye. 2003 Apr;17(3):356-63.
Epidemic kerato-conjunctivitis–do outbreaks have to be epidemic?
Cheung D, Bremner J, Chan JT.
Department of Ophthalmology, Royal Hallamshire Hospital, Sheffield, UK.
[要約の抄訳]
目的: 以下について研究する: 英国の1つの教育研究病院におけるアデノウイルス角結膜炎の発生についての疫学; 病気の症状と臨床診断率への影響; 病院スタッフ・患者間のウイルスの伝染パターン; 発生を最小限にする感染対策手順の効果。
方法: 前向き/後向きの診療監査とウイルス学的培養結果の後向き監査: アデノウイルス角結膜炎の発生中に採取された全てのウイルス培養用綿棒(スワブ)の結果を調べた。ウイルス用スワブからのアデノウイルス培養が陽性であった患者の病歴を追跡調査した。培養陽転時期 (culture positive time) を計算した。(1) 感染源 (2) 感染獲得 acquisition of (the) infection となるリスク因子 を解明するために、症例記録を分析した。感染対策手順の効果を評価するために、後向き診療監査を行った。アデノウイルス分離株は、血清型を調べた。
結果: 3か月の調査期間中、アデノウイルス角結膜炎の確定診断例は 38症例であった。3か月当たりの新規症例数の増加率は 217%となった。5例の症例記録では追跡調査されていなかった。他の 33症例中、21例 (63%)は眼科(学部)から直接的ないし間接的に感染獲得し、22例 (67%)は片眼性(疾患)を呈していた。誤診率は、両眼性を呈していた患者 (2/11=18%)より片眼性を呈していた患者 (9/22=42%) が高かった。眼科内での感染獲得 acquisition of infection は、診断用または治療用コンタクトレンズ使用などの侵略的処置に関連した。ウイルス培養陽転時期は、3日から 29日であった。感染対策手順の導入により眼科内感染例の頻度は著減し、2週以降、新規発症例はなくなった。複数の血清型によるアデノウイルス感染が起こっていた
結論: アデノウイルス角結膜炎の発生は、眼科(学部)にとって重大な公衆衛生上の問題です。今回の監査研究によって、いくつかの重要な点が明らかになりました:
(1) 病院内感染が発病症例のかなりの割合を占めるにいたる経緯
(2) 一回の発生に複数のアデノウイルス血清型がどのように関与するか
(3) 重症の片眼性のケースが高い誤診率に関連すること
(4) 診断が疑わしいとき、標準的なウイルス培養法は感染の確定や反証に際して、どうして満足できない可能性があるのか
本監査では、発生を最小限とする感染対策手順の潜在的利益について証明するに至らなかった。

参照ページ:
血清型、遺伝子型による流行の動向
   » http://www.medqa.jp/2004/07/post_f1c2.html
IDWR:感染症の話 咽頭結膜熱
  » http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_14.html

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2006/02/10 at 23:20

カテゴリー: 結膜炎