evidence-based medicine

Archive for the ‘粘稠化剤’ Category

ルブリカント眼軟膏とリポイド肺炎

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海外では、眼科用粘稠剤 Eye Lubricant を主成分とするドライアイ用点眼薬がいろいろ市販されています (国内では、商品化されたものは点眼液に限られているようです)。
ルブリカント眼軟膏 Lubricant Eye Ointment: ドライアイや眼球乾燥症の夜間、就寝中の症状緩和や眼刺激症状の予防のために、主に就寝前の使用が推奨されています。

Mayo Clin Proc. 1990 Apr;65(4):521-9.
点眼薬による肺合併症
Pulmonary complications from ophthalmic preparations.
Prakash UB, Rosenow EC 3rd.
Division of Thoracic Diseases, Mayo Clinic, Rochester, MN 55905.
[要約一部の邦訳] <上略>眼球乾燥症の治療のために軟膏 (Lacri-Lube [訳者注 1]) の局所使用開始後、右肺中葉の結節状浸潤と夜間の咳を特徴とする嚥下性肺炎 aspiration pneumonitis を来たした 67才の女性患者例について記述する。気管支洗浄により、脂質を含む肺胞マクロファージが証明された。Lacri-Lubeの使用中止後、咳と胸部レントゲン異常は完全に消失した。鉱物油 mineral oilとワセリン petrolatum を含む局所眼科用薬が鼻涙管を通って鼻咽頭、気管、気管支に流れ込み、油成分の吸入によりリポイド肺炎 lipoid pneumonitisを来たしたと著者らは推定する。著者らが知っている限りでは、本報告は Lacri-Lubeによる肺合併症の第 1報である。<下略>

訳者注 1: 製品名 Lacri-Lube
有効成分として、流動パラフィン Liquid paraffin (同意語 鉱物油 Mineral oil) 42.5% w/w と 軟性白石ろう Soft white paraffin (同意語 白色ワセリン White petrolatum) 56.8%~57.3% w/w を含有する眼軟膏です (添加物としてラノリン lanolinや防腐剤が少量含まれている商品などがあります)。

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2005/10/16 at 09:01

カテゴリー: 粘稠化剤

ポビドン povidoneとコンタクトレンズ

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潤滑剤 lubricantである ポビドン povidone を含有する点眼液やコンタクトレンズに吸着させた商品などが今後国内でも普及する可能性があります。国内製品の一部では、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース(HPMC), ポビドン(povidone) などのルブリカントは「粘稠化剤」と表示されています。また、ポビドン povidoneは合成高分子物質 (ポリビニルピロリドン polyvinylpyrrolidone PVP 平均分子量 25,000) のことです。
  エントリー「潤滑剤 ルブリカントと人工涙液型点眼液」
» http://infohitomi.biz/archives/000051.html
  エントリー「コンピュータ視覚症候群とドライアイ」
» http://www.qqiac.com/archives/000146.html
もご覧下さい。

コンピュータ視覚症候群 computer visual syndrome を呈するコンタクトレンズ装用者に対する 2%ポビドン防腐剤無添加点眼液の効果: 予備的研究.
Eye Contact Lens. 2004 Jan;30(1):34-9.
Effect of povidone 2% preservative-free eyedrops on contact lens wearers with computer visual syndrome: pilot study.
Guillon M, Maissa C, Pouliquen P, Delval L.
Optometric Technology Group Ltd., 42 Vauxhall Bridge Road, London SW1V 2RX, UK.
[要約の邦訳]
目的: ポビドン 2%防腐剤無添加・潤滑剤点眼液 povidone 2% preservative-free lubricating eyedrops は コンタクトレンズ装用者のコンピュータ視覚症候群 computer visual syndrome を減少させることを提示し、最善の点眼手順を確認すること。
方法: 試験薬には FILMABAK社, CE-MARKED取得 防腐剤無添加潤滑剤 ポビドン povidone 2% 点眼薬 (ABAK™ システム) を用いました。コンタクトレンズを装用しコンピュータを使用している間、3通りの投薬様式を評価しました: 1時間毎点眼, 症状があれば symptom-related 点眼, 患者本人による点眼。
結果: コンピュータを持続的に使用しているとき、ポビドン povidone 2% 使用に伴う諸症状の減少は、統計学的、臨床的に有意でした。しかしながら、諸症状は試験点眼薬を使っても完全に消失しませんでした。3通りの方法は、同様の有益な効果がありました。眼組織に有意な変化は観察されず、コンピュータの持続的使用後に記録した染色所見の程度も低いままでした。また、試験を行った 3通りの防腐剤無添加潤滑剤 2% ポビドン点眼薬の使用法は、どれでも動体視力 dynamic visual acuity に軽度の改善がみられました。
結論: 2% ポビドン防腐剤無添加点眼液を使用すると、コンピュータの持続的使用中にみられる諸症状の改善に結びつきました。3つの点眼方法のどの方法であっても、目の疲労感、乾燥感、目の焦点を合わせることの困難さを減少させました; 角膜表面には変化がないままでした; さらに、動体視力は改善しました。よって、もっとも患者に優しい点眼方法 (患者自身が症状自覚時に点眼する) をコンピュータ視覚症候群を伴うコンタクトレンズレンズ装用者に推奨してもよいと考えます。

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2005/09/13 at 11:30

カテゴリー: 粘稠化剤

潤滑剤 ルブリカントと人工涙液型点眼液

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国内では、パソコン使用者、コンタクトレンズ装用者、ドライアイ患者は、目の乾燥感の緩和のために、「人工涙液型点眼液」を薬局で購入したり、本剤を医療機関にて処方されたりすることが少なくないと思います。潤滑剤 (ルブリカント lubricant) とは、欧米諸国では一般的な薬学・医学用語として扱われており、以前から数多く販売されています。国内では、潤滑剤の発売がようやく本格化しそうですが、残念なことに「潤滑剤」を商品に表示することは許可されていないようです。国内製品の一部では、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース(HPMC), ポビドン(povidone) などのルブリカントは「粘稠化剤」と表示されています。人工涙液型点眼液、ソフトコンタクトレンズおよびソリューションの中の「有効成分, 成分」を見ると、「潤滑剤」であるか否か確認できますので、薬剤師や眼科医にお尋ね下さい。
なお、「潤滑剤」使用による効果は下記論文のとおり、物理的、生理学的な特性による効果だけでなく、心理的効果もあるようです。

コンタクトレンズソリューションに含まれる潤滑剤 ルブリカントの生体内および生体外の効果
Ophthalmic Physiol Opt. 2002 Jul;22(4):319-29.
In vitro and in vivo effects of a lubricant in a contact lens solution.
Thai LC, Tomlinson A, Simmons PA.
Department of Vision Sciences, Glasgow Caledonian University, UK.
[要約の邦訳]
目的: 眼潤滑剤 ヒドロキシプロピル・メチルセルロース(HPMC hydroxypropyl methylcellulose) を含有するマルチパーパスコンタクトレンズソリューション (訳者注: 洗浄・すすぎ・保存液のこと)の物理的特性と涙液層機能について研究した。
方法: 実験室において、生体外で一晩漬けた overnight soak 後、HPMCの有無によるマルチパーパスソリューションの湿潤特性とハイドロゲルレンズに対するHPMCの結合力を測定した。HPMC含有、非含有のマルチパーパスソリューションを使用している 35名のハイドロゲルレンズ装用者を対象として、涙液生理学を評価した。

Pre-lens tear evaporation rate (TER) レンズ前面涙液蒸発速度
tear thinning time (TTT) 涙液薄層化時間
tear film structure (TFS) 涙液層構造

を記録し、自覚的反応を(データとして)取得した。
結果: 実験による測定値は、一晩ソリューションに漬けたあと、HPMC含有溶液では湿潤性改善とレンズからの持続的な HPMC放出を示唆していた。HPMC含有溶液の使用時、Pre-lens TTT は延長し (p < 0.001), pre-lens TFS は改善した (p = 0.034)。Pre-lens TER と自覚的症状の比較では、有意な差がなかった。
結論: 体外、生体内の結果は、ハイドロゲルレンズ上に、液層をより厚く持続的に形成し、コンタクトレンズ装用者の涙液機能改善に導くHPMC (の特性)と一致する。

ソフトコンタクトレンズ潤滑剤の自覚症状とレンズ脱水に対する効果
CLAO J. 1991 Apr;17(2):114-9.
The effect of soft lens lubricants on symptoms and lens dehydration.
Efron N, Golding TR, Brennan NA.
Department of Optometry, University of Melbourne, VIC, Australia.
[要約の邦訳]
ソフトコンタクトレンズ潤滑剤の効果と作用機序を確認するため、無作為対照化二重盲検試験 controlled, double-masked, randomized studyを行った。症状を有する 30名のソフトコンタクトレンズ (hydroxyethylmethacrylate HEMA) 装用者は、6時間の装用中、2時間毎に生理食塩水、ソフトレンズ潤滑剤 2剤のうちの1剤のいずれかを点眼し、レンズ含水率と乾燥症状について評価された。眼乾燥感が短期間または長期間にわたり自覚的に緩和することは、ソフトコンタクトレンズ潤滑剤 2剤で認められた(ANOVA, P < 0.05)。しかしながら、どちらの潤滑剤であっても生理食塩水を有意に上回ることはなかった。コンタクトレンズの脱水はどのような点眼液であっても有意に減少しなかった。ソフトレンズ潤滑剤による症状緩和の理由として物理的(レンズの加湿)や生理学的な根拠よりむしろ心理的な理由を軽視してはいけない。

Written by support

2005/09/12 at 15:35

カテゴリー: 粘稠化剤