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Archive for the ‘妊娠、授乳とクスリ’ Category

オセルタミビル (Roche社 タミフル)

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リン酸オセルタミビルを内服すると、ウイルスのノイラミニダーゼが阻害されるため、細胞内で増殖したインフルエンザウイルスの細胞外放出が抑制され重症化予防と罹病期間の短縮が期待できます。一方、アマンタジン amantadine が有する抗ウイルス作用は A型インフルエンザウイルスの表面にあるM2蛋白に作用してウイルスの脱殻・ウイルス粒子形成を抑制します。
米国食品医薬品局 FDA の評価と解説(日本語訳)をお知らせいたします。
■ ノイラミニダーゼ阻害剤 オセルタミビル oseltamivir (商品名 タミフル Tamiflu )
リスク分類「C」
動物による研究では、胎児に対する副作用と毒性があります。
妊婦を対象とした十分・適切な対照化試験は行われていません。
本薬剤は、胎児に対するリスクの可能性よりも有益性の可能性が上回るときのみ使用すべきです。
【胎児へのリスク】
十分な動物実験によるデータはありませんが、いくつかの動物では大量投与にて骨格異常の頻度が増えたと報告されています。
十分なヒトに関するデータはなく、胎児に対するいかなるリスクよりも母体に対する有益性の可能性が上回るときのみ使用すべきです。
【授 乳】
泌乳動物の乳汁中に分泌されますが、ヒトでは不明です。
乳児に対するいかなるリスクよりも母体に対する有益性の可能性が上回るときのみ使用すべきです。
カテゴリ「A-X」については、
http://category.xrea.cc/drugs/000001.html
のリンク先でご確認下さい。
FDA: A, B, C, D, X
TGA: A, B1, B2, B3, C, D, X
Ping送信元: やまむら眼科医院 石川県石川郡野々市町新庄5丁目 5-106

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2005/09/22 at 20:56

カテゴリー: 妊娠、授乳とクスリ

A型インフルエンザ治療薬 アマンタジン

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米国食品医薬品局 FDA の評価と解説(日本語訳)をお知らせいたします。
■ 塩酸アマンタジン Amantadine(商品名 シンメトレル錠, シンメトレル細粒 など)
国内では、パーキンソン病・症候群の症状を改善する薬剤として販売されていましたが、1998年11月、A型インフルエンザウイルスに対して適応拡大されました。B型インフルエンザウイルスには無効です。
  http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1161001.html
リスク分類「C」
動物による研究では、胎児に対する副作用と毒性があります。
妊婦を対象とした十分・適切な対照化試験は行われていません。
本薬剤は、胎児に対するリスクの可能性よりも有益性の可能性が上回るときのみ使用すべきです。
【胎児へのリスク】
動物に大量投与すると、胎芽毒性と催奇形性がみられます。
ヒトに関するデータは限られていますが、妊娠初期では、心血管系の欠損と四肢減形成 limb reduction defectsを来たす可能性があります。ただし、結論を出すには、曝露症例数が少ないです。
【授 乳】
乳汁中に少量分泌されます。
新生児、乳児に副作用 「嘔吐、皮疹、尿閉」を来たす可能性があるため、注意が必要です。
カテゴリ「A-X」については、
http://category.xrea.cc/drugs/000001.html
のリンク先でご確認下さい。
FDA: A, B, C, D, X
TGA: A, B1, B2, B3, C, D, X
Ping送信元: やまむら眼科医院 石川県石川郡野々市町新庄5丁目 5-106

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2005/08/17 at 11:16

カテゴリー: 妊娠、授乳とクスリ

結核治療薬 エタンブトール イソニアジド

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米国食品医薬品局 FDA の評価と解説(日本語訳)をお知らせいたします。
■ エタンブトール ethambutol(商品名 エサンブトール錠, エブトール錠 など)
結核治療薬の1つ。副作用として、視力・色覚障害、肝障害がよく知られています。
リスク分類「B」
生殖期の動物による対照化試験(controlled studies)では、動物胎児にリスクはありません。妊婦を対象とした充分な対照化臨床試験はありません。
【胎児へのリスク】
ヒト胎盤を通過します。ヒトに関するデータは少ないのですが、先天異常との関連性を指摘した報告はありません。
【授 乳】
乳汁中に分泌されますが、授乳は安全です。
■ イソニアジド isoniazid INH(商品名 イスコチン錠, スミフォン錠 など)
他の結核治療薬と併用します。単剤投与は結核の予防目的となります。副作用として、ビタミン B6 欠乏がよく知られています。末梢神経炎の発生予防のため、ビタミンB6 製剤を併用します。
リスク分類「C」
動物実験では、胎児への副作用や毒性が見られました。妊婦を対象とした充分な対照化臨床試験はありません。本剤は、胎児などに対するリスクよりも治療上の有益性が上回るときのみ使用すべきです。
【胎児へのリスク】
ヒト胎盤を通過します。妊娠初期では多指症との関連性があります。イソニアジドは悪性中皮腫を来たす薬品として、子宮内で本剤に曝露した子どもにおける発がん性が指摘されています (注1)。新生児の出血性疾患と母親のイソニアジド治療との関連性が指摘されています。
【授 乳】
乳汁中に分泌されます。授乳は安全ですが、乳児に神経炎と肝炎の所見・症状が現れないか観察すべきです。
 注1:  http://www.fda.gov/medwatch/SAFETY/LABEL/aug96.htm

Carcinogenesis and Mutagenesis: Isoniazid has been shown (replaces "reported") to induce pulmonary tumors in a number of strains of mice. Isoniazid has not been shown to be carcinogenic in humans. (Note: a diagnosis of mesothelioma in a child with prenatal exposure to isoniazid and no other apparent risk factors has been reported). Isoniazid has been found to be weakly mutagenic in strains TA 100 and TA 1535 of Salmonella typhimurium (Ames assay) without metabolic activation.

カテゴリ「A-X」については、
http://category.xrea.cc/drugs/000001.html
のリンク先でご確認下さい。
FDA: A, B, C, D, X
TGA: A, B1, B2, B3, C, D, X

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2005/06/01 at 08:03

カテゴリー: 妊娠、授乳とクスリ

抗菌薬 エリスロマイシン

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オーストラリア厚生省治療製品管理局TGA、米国食品医薬品局FDAの評価と解説(日本語訳)をお知らせいたします。
■ エリスロマイシン(商品名 エリスロマイシン錠など)
マクロライド系抗菌薬。一般細菌 (主にグラム陽性菌) の他、マイコプラズマ属クラミジア・トラコマティス にも有効です。ただし、本剤に薬剤耐性を示す菌種が増えています。
注意: エリスロマイシン内服薬には、一般名 エチルコハク酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート があります。
    http://gackt.m78.com/~kako/rx/ku60/idx_ku60-20.html#10
この中で、商品名 アイロゾン錠、アイロゾン顆粒 などのエリスロマイシンエストレート Erythromycin estolate は、下記のとおり肝障害を来たすリスクがあり、日本細菌学会ホームページ
    http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsb/infect/shikkan/1402seik_5.html
では「妊娠中は禁忌である」と警告しています。
【TGA】
リスク分類「A」
【FDA】
リスク分類「B」
以下はFDAの解説です。
生殖期の動物による対照化試験(controlled studies)では、動物胎児にリスクはありません。
妊婦を対象とした充分な対照化臨床試験はありません。
【胎児へのリスク】
胎盤を通過します。エストレート塩を含有する場合、治療中に薬剤性肝障害を来たすことがあります。妊娠初期に使用しても先天奇形が発症したとのエビデンスはありません。
【授 乳】
乳汁に分泌されます。授乳はできます(Compatible with breast feeding.)
カテゴリ「A-X」については、
http://category.xrea.cc/drugs/000001.html
のリンク先でご確認下さい。
FDA: A, B, C, D, X
TGA: A, B1, B2, B3, C, D, X

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2005/05/04 at 13:11

カテゴリー: 妊娠、授乳とクスリ

中枢神経興奮薬 カフェイン

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オーストラリア厚生省治療製品管理局TGA、米国食品医薬品局FDAの評価と解説(日本語訳)をお知らせいたします。
■ カフェイン(商品名 カフェインなど)
中枢神経を刺激します。ねむけ、倦怠感、一部の頭痛に効果があります。
【TGA】
リスク分類「A」
【FDA】
リスク分類「B」
以下はFDAの解説です。
生殖期の動物による対照化試験では胎児へのリスクはありませんでした。適切で十分な対照化試験は妊婦を対象として行われていません。
【胎児へのリスク】
ヒト胎盤を通過します。動物実験では母体に中毒量を投与すると、催奇形性があり、大量のカフェイン摂取は、生殖力の低下、流産の頻度増加、低出生体重、発育遅滞、早産との関連性が示唆されています。
妊婦が一日あたり 500mg以上のカフェインを摂取すると、カフェイン離脱症状として新生児に不整脈が発生したり、胎児の動きの変化(胎動増加、胎児心拍数と呼吸数の不規則化)が妊娠後期にみられます。
【授 乳】
母親の摂取量が通常量であれば、授乳は安全です。過剰量であれば、乳児に刺激性亢進と睡眠不足を来たします。
カテゴリ「A-X」については、
http://category.xrea.cc/drugs/000001.html
のリンク先でご確認下さい。
FDA: A, B, C, D, X
TGA: A, B1, B2, B3, C, D, X

Written by support

2005/04/24 at 09:56

カテゴリー: 妊娠、授乳とクスリ