evidence-based medicine

Archive for 11月 2005

病的近視のベルテポルフィン治療-2年-VIPレポート

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病的近視は、(強度近視に伴う)変性近視 Degenerative myopiaWHO 国際疾病分類 International Classification of Diseases ICD-10H44.2 と同義語ですが、光線力学療法 (ベルテポルフィン治療)の対象眼は、国内では加齢黄斑変性(症)と同じ国際疾病分類 H35.3 に分類されることがあります。
病的近視のために中心窩下脈絡膜新生血管病変を来たした患者のうち、病変の最大直線寸法 5400μm以下, 最高矯正視力 letter スコア 50以上 (近似スネレン等価視力 20/100以上 [訳者注: 日本で一般的な国際標準小数視力表示にさらに換算すると, 0.2以上]などの基準を満たす患者を対象とした臨床試験が欧州、北アメリカの合計28の眼科施設で行われています。研究班 Verteporfin in Photodynamic Therapy Study Group が継続して実施している臨床試験(治験) であり、VIP Trialともよばれます (病的近視 pathological myopia (PM)を対象とした本試験を VIP-PM と別称することもあります)。
試験デザイン: 多施設, 2重盲検, 偽薬対照化, 無作為比較臨床試験
multiple, double-masked, placebo-controlled, randomized clinical trial
エントリー「病的近視とベルテポルフィン治療 (その1)」
  » http://infohitomi.biz/archives/000059.html
もご覧下さい。
本試験の1年目の結果の抄訳は省略します。
Ophthalmology. 2001 108:841-52.
Verteporfin in Photodynamic Therapy (VIP) Study Group. Photodynamic therapy of subfoveal choroidal neovascularization in pathologic myopia with verteporfin: 1-year results of a randomized clinical trial–VIP report 1.

病的近視の中心窩下脈絡膜新生血管に対するベルテポルフィン治療: ランダム化臨床試験の2年結果–VIPレポート no.3
Ophthalmology. 2003 Apr;110(4):667-73.
Verteporfin therapy of subfoveal choroidal neovascularization in pathologic myopia: 2-year results of a randomized clinical trial–VIP report no. 3.
Blinder KJ, Blumenkranz MS, Bressler NM, Bressler SB, Donato G, Lewis H, Lim JI, Menchini U, Miller JW, Mones JM, Potter MJ, Pournaras C, Reaves A, Rosenfeld P, Schachat AP, Schmidt-Erfurth U, Sickenberg M, Singerman LJ, Slakter JS, Strong HA, Virgili G, Williams GA.
[要約の結論]
病的近視に発生する中心窩下脈絡膜新生血管に対するベルテポルフィン治療は2年間の追跡調査により、プラセボ(偽薬)治療群に比べて安全に視力 visual benefit を保持した。2年追跡調査では、第一義的(主要)な結果 primary outcome については、1年追跡調査のようなベルテポルフィン治療を支持する統計学的に有意な結果はなかった が、24か月時点の検査における視力変動の分布はベルテポルフィン治療群を支持し、24か月間の検査にて治療群は視力改善しやすい可能性を示した。The VIP Study Group はこのランダム化臨床試験の 1年-および 2年結果に基づき、病的近視による中心窩下脈絡膜新生血管に対するベルテポルフィン治療を推奨する。[アンダーラインは訳者による]

[論文の一部、結果のみ邦訳します]
2年結果は、2000年10月10日に完了しました。
24か月検査は、verteporfin 治療群 81症例中 77例 (95%)、偽薬群 39症例中 36例 (92%)に行われました。2年目には追跡調査できなかった症例は、治療群 3% 偽薬群 0% でした。
21か月の検査時(最終の再治療時期)、治療群 23例 (28%), 偽薬群 9例 (23%)が治療を受けました。
12か月の検査時の治療群 57%, 偽薬群 51% に比べて、減少しました。
12か月から21か月の期間中の平均治療回数:
    治療群 1.7回, 偽薬群 1.4回 (P = 0.23)
試験開始から21か月まで平均治療回数:
    治療群 5.1回, 偽薬群 4.6回 (P = 0.19)

視力結果 Vision Outcomes [訳者注: 治験デザインより症例数=眼数です]
24か月の検査時、少なくとも 8 letters (近似スネレン等価視力 approximate Snellen equivalent 少なくとも 1.5ライン)の視力低下:
    治療群 29/81眼 (36%), 偽薬群 20/39眼 (51%) (P = 0.11)
3か月毎の追跡調査をみると、治療群では6ヶ月から24か月の期間において少なくとも 8 letters 低下した眼数の変化はほとんどなく、偽薬群 (39眼だけであるが) の変動幅は大きかった。
24か月の検査時の視力変動の分布は、ベルテポルフィン治療を受けた症例の有益性を支持している。
    中央値 (P = 0.05): 治療群 +0.2ライン (+1.0 letters), 偽薬群 -1.6ライン (-8.0 letters)
    [訳者注: + 改善, – 低下]

少なくとも 5 letters (近似スネレン等価視力 approximate Snellen equivalent 少なくとも 1ライン)の視力改善:
    治療群 32/81眼 (40%), 偽薬群 5/39眼 (13%)
少なくとも 15 letters (少なくとも 3ライン)の視力改善:
    治療群 10/81眼 (12%), 偽薬群 0/39眼 (0%)
少なくとも 15 letters (少なくとも 3ライン)の視力低下(中等度低下):
    治療群 17/81眼 (21%), 偽薬群 11/39眼 (28%) (P = 0.38)
24か月の検査時
視力(中央値): 治療群 61 letter score (20/64+1) [訳者注: 国際標準小数視力 0.3より少し良い], 偽薬群 51 letter score (20/100+1) [訳者注: 小数視力 およそ 0.2] (P = 0.07)

試験開始前の視力との比較:
    3か月目から24か月目の全期間を通して治療群は安定していた。
コントラスト感度スコア:
    24か月間通して治療群(73眼)は安定し、偽薬群(34眼) はほんのわずかな悪化あり。

蛍光眼底造影結果 Fluorescein Angiographic Outcomes:
24か月検査時(判定困難例を除く)、治療前の病変を越えた、典型的CNV (classic choroidal neovascularization の拡大があった進行例:
    治療群 35% (75眼中), 偽薬群 43% (37眼中) (P = 0.22)
治療前病変と比較して(病変の拡大とは無関係に)、classic型の脈絡膜新生血管 CNVが消失した頻度:
    治療群において12か月から24か月の期間に 6%増加しました (対照群 18%)。
蛍光漏出なし:
    治療群 44% (75眼中), 偽薬群 51% (37眼中) (P = 0.46)
24か月の検査時の病変サイズ:
1乳頭径以下:
    治療群 55% (76眼中), 偽薬群 36% (39眼中) (P = 0.05)
3乳頭径を越えるサイズ:
    治療群 9% (76眼中), 偽薬群 28% (39眼中) (P = 0.01)

安全性 Safety
治療との関連性の有無にかかわらず発生した有害事象(治療群 81例中, 偽薬群 39例中):
    治療群 59症例 (73%), 偽薬群 27症例 (69%)
治療担当眼科医により治療に関連したと判断されたもの:
    治療群 25症例 (31%), 偽薬群 13症例 (33%)

臨床関連の有害事象 (治療との関連性を問わず):
[訳者注 以下に治療群 症例数 (%) 偽薬群 症例数 (%)の順に表示します]
■ 視力障害
    19(23)    8(21)
[12か月時点 17    8]
■ 注射部位の有害事象
      8(10)    2(5)
疼痛, 浮腫, 血管外漏出, 炎症, 出血, 変色など
[12か月時点 6    0]
■ 注射による背部痛
      1(1)    0(0)
[12か月時点 1    0]
■ アレルギー反応
      3(4)    2(5)
■ 光線過敏反応
      3(4)    1(3)
[12か月時点 治療群 3]

死亡例 なし
網膜血管閉塞性病変 なし
治療7日以内の重篤な急性視力低下 なし
潜在的な眼部有害事象に関して、治療前に比べて 24か月時点で網膜内出血や網膜下出血の増加がみられた症例は治療群 7%, 偽薬群 5% とほぼ同じであった。

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2005/11/30 at 13:37

カテゴリー: 血管新生

ぶどう膜炎-原因-治療薬-EBM

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ぶどう膜炎は病名ですが、原因名ではありません。
ぶどう膜炎の原因・病因について:
患者年齢(年代)、居住地、人種などによって原因疾患の頻度が異なるだけでなく、一部の疾患では、発症年齢により臨床像(病型)が大きく異なることがあります。
サルコイドーシス: 小児科の考え方
Clin Pediatr (Phila). 1998 Dec;37(12):707-17.
Sarcoidosis: a pediatric perspective.
Shetty AK, Gedalia A.
Department of Pediatrics, Louisiana State University Medical Center, New Orleans 70112, USA.
[要約の邦訳]
小児期のサルコイドーシスは、まれな原因不明の多臓器性肉芽腫性疾患である。臨床像は罹患臓器によって大きく異なる。小児サルコイドーシスには、2つの別個の病型がある。年長の小児では通常、肺門リンパ節腫脹と肺浸潤が好発する成人の症状と同様の多臓器疾患を呈する。早期発症の小児サルコイドーシスは、4才以前に発症する3徴(候)「発疹 rash, ぶどう膜炎 uveitis, 関節炎 arthritisを特徴とする特異型である。サルコイドーシスの診断は、生検標本中に典型的な非乾酪性肉芽腫 noncaseating granuloma を発見すれば確定となる。多臓器病変を来たした小児サルコイドーシスに選択される最近の治療法は、副腎皮質ステロイド薬 corticosteroid である。低用量のメトトレキサート methotrexate 経口投与は効果的、安全で、ステロイド使用量を減らす steroid-sparing (訳者注: sparing には「回避する」という意味もある) 特性がある。
ぶどう膜炎治療と EBM (evidence based medicine):
EBMでは、治療薬の有効性は「ランダム化比較試験 randomized controlled trial」により評価し、本試験の方法論の質によりエビデンスの質も決定しますが、ぶどう膜炎治療薬に関しては、ランダム化比較試験は多くないようです。たとえば、急性トキソプラズマ性網脈絡膜炎の抗菌薬治療にはエビデンスがないとの報告があります。また、画期的な免疫抑制薬 シクロスポリンの臨床試験がぶどう膜炎患者を対象に行われたのは、20年前のことです。ベーチェット病の眼病変に対しては (それ以前には多くの薬剤が用いられていましたが)シクロスポリンとアザチオプリンの2剤だけ予防効果が確認されています。
(1) トキソプラズマ性網脈絡膜炎
トキソプラズマ性網脈絡膜炎に対する抗菌薬: 科学的根拠に基づく系統的レビュー
Ophthalmology. 2003 May;110(5):926-31;
Antibiotics for toxoplasmic retinochoroiditis: an evidence-based systematic review.
Stanford MR, See SE, Jones LV, Gilbert RE.
Department of Ophthalmology, St. Thomas’ Hospital, London, England.
[要約の邦訳は省略します]
トキソプラズマ網脈絡膜炎に対する抗菌薬と対照群 (コクラン・レビュー)
[最終更新: 14 November 2001]
The Cochrane Database of Systematic Reviews 2002, Issue 1. Art. No.: CD002218. DOI: 10.1002/14651858.CD002218.
 » http://www.update-software.com/Abstracts/AB002218.htm
Antibiotics versus control for toxoplasma retinochoroiditis (Cochrane Review)
Gilbert RE, See SE, Jones LV, Stanford MS
(2) ベーチェット病
ベーチェット症候群に対する薬物治療 (コクラン・レビュー)
[最終更新: 24 February 1998]
The Cochrane Database of Systematic Reviews 1998, Issue 2. Art. No.: CD001084. DOI: 10.1002/14651858.CD001084.
 » http://www.update-software.com/Abstracts/ab001084.htm
Pharmacotherapy for Behcet’s syndrome (Cochrane Review)
Shea BJ, Ausejo M, Robinson VA, Saenz AAS, Tugwell P, Wells G
ベーチェット病を対象としたシクロスポリンとコルヒチンとの二重盲検試験、シクロスポリン長期オープン試験.
Lancet. 1989 May 20;1(8647):1093-6.
Double-masked trial of cyclosporin versus colchicine and long-term open study of cyclosporin in Behcet’s disease.
Masuda K, Nakajima A, Urayama A, Nakae K, Kogure M, Inaba G.
Department of Ophthalmology, Faculty of Medicine, University of Tokyo, School of Medicine, Japan.
[要約の邦訳は省略します]
ぶどう膜炎に対するシクロスポリン治療: 長期追跡調査.
J Ocul Pharmacol. 1985 Winter;1(4):369-82.
Cyclosporine therapy for uveitis: long-term followup.
Nussenblatt RB, Palestine AG, Chan CC.
Clinical Branch, National Eye Institute, Bethesda, Maryland.
[要約の邦訳は省略します]

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2005/11/27 at 21:28

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屈折矯正手術合併症と治療オプション

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屈折矯正手術後にセカンドオピニオンを求められた米国の有名な医療機関の調査報告です。屈折矯正手術後に発生した合併症のため不満を有する症例に対して、ウエーブフロント・レーシック LASIK手術によるカスタマイズした再手術 wavefront-guided customized retreatment を含む技術進歩を待つことも治療選択の1つとなります。
屈折矯正手術の後にコンサルテーションを求める不満患者の合併症と推奨治療法の調査
J Cataract Refract Surg. 2004 Sep;30(9):1867-74.
Survey of complications and recommendations for management in dissatisfied patients seeking a consultation after refractive surgery.
Jabbur NS, Sakatani K, O’Brien TP.
Refractive Eye Surgery Service, The Wilmer Eye Institute, The Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD 21093, USA.
[要約の邦訳]
目的: 他の施設で行われた屈折矯正手術の後、コンサルテーションを求める不満患者の合併症と治療オプションをレビューする。
場所: Refractive Eye Surgery Center, The Wilmer Institute, Lutherville, Maryland, USA.
方法: 後向きレビューの本調査では、他施設で行われた屈折矯正手術の後、1999年6月から2003年1月までの期間に屈折矯正のコンサルテーションを求めた不満を有する連続症例の診療録を調査し、以下のパラメーターを解析した: 視力 (裸眼視力および眼鏡による最高矯正視力), 以前の屈折度, 合併症, 助言推奨内容。自覚症状, 合併症, 視力についてレビューし、関連した視覚リスク因子とともに治療オプションを解析した。
結果: 眼合併症を有する 101症例 161眼が確認された。134眼 (83.2%)は LASIK (laser in situ keratomileusis)で、他に 22眼 PRK (photorefractive keratectomy); 4眼 RK (radial keratotomy); 1眼 レーザー角膜熱形成術 (thermokeratoplasty)であった。最も多い自覚症状は、遠方視力障害 (59.0%), グレア glare と夜間視力障害 (43.5%), ドライアイ (21.1%)であった。最も多い合併症は、過矯正 (30.4%), 不正乱視 (29.8%), ドライアイ (29.8%), グレア (26.1%), 夜間運転困難 (16.7%), 角膜混濁 corneal haze(16.7%)であった。眼鏡による矯正視力 0.5未満であった手術眼の原因として最も多いものは、不正乱視 (18眼中 10眼 [55.5%])であった。治療として最も推奨されたものは、非外科的治療や観察であった (68.3%)。推奨された非外科的治療は、粘稠剤(ルブリカント), 涙点プラグ, 眼表面に影響する局所用剤・内服薬, 眼鏡, コンタクトレンズであった。角膜移植 (表層または全層)は 4例 (4眼 [2.5%])ですすめられた。角膜拡張 corneal ectasia 3眼, 不正乱視を伴う重症角膜フラップ合併症 1眼の診断例が含まれていた。9症例 (全眼数中 5.6%) は角膜移植でない手術治療を要した。他の患者では、ウエーブフロント・レーシック手術によるカスタマイズした再手術 wavefront-guided customized retreatment を含む技術進歩を待つことが推奨された。
結論: 屈折矯正手術に伴う合併症が患者の不満になる可能性がある。適切な患者選択, 予防戦略, 迅速な診断と非外科的または手術介入は、合併症治療および患者満足度の改善に有益となる可能性がある。

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2005/11/22 at 22:51

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視野検査と費用対効果

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日本では、医療機関にて下記のハンフリー自動視野計などによる静的量的視野検査をお受けになると、検査代として両眼 6,000円 (×健康保険の自己負担率)の医療費がかかります。国内では、新聞、マスコミ、公共機関、医師会、専門学会などは緑内障をテーマとして取り上げると、第一に「医療機関による視野検査」を推奨しますが、海外では、専門家によるサポートと学術論文があり費用効果的なスクリーニングを行うサイトも登場しています。新しい技術やシステム開発の背景には、米国では医療費が高い、インターネット普及・利用率が高い、国土が広大であるという地理的理由などが関係するのかもしれませんが、日本でも今後、視野検査の費用効果的分析 cost-effective analysis はますます重要になると考えます。
因みに、「cost effective (費用対効果) visual field (視野) glaucoma (緑内障)」をキーワードとして、PubMedによる医学論文検索(過去40年余り)を行っても、日本人の緑内障患者を対象とした研究論文はヒットしません ("cost benefit 費用便益"&#160, "cost-effectiveness" も検索済)。
オンライン視野検査  「Peristat」
 » http://www.keepyoursight.com/
提供元: 米国ロサンゼルス Peristat Group LLC
「ペリスタット」の無料デモ・サイトがあります (すべて英語です)。
 » http://www.keepyoursight.com/manual_demo.php
パソコンに「Macromedia Flash Player 7.0」ダウンロード・インストール後、実行できます。
ホームページ内の解説文の一部を抄訳します。
検査時間はわずか5分で、利用者の許可があれば、
(1) かかりつけのアイ・ドクター(眼科医)がいないとき、「Peristat」提供側の専門家が独自に検査結果を評価し、セキュアーなページに表示します。
(2) かかりつけの眼科医やオプトメトリストに結果を発送します。
眼科の診療室での従来の検査は $150以上かかりますが、本検査は両眼 $29.95 です(参加パートナーからの紹介があればロープライスとなる可能性があります) 。
関連論文:
Peristat: 緑内障の費用効果的な集団検診のためのコンピュータベース視野自己診断検査
Curr Eye Res. 2005 Jan;30(1):1-6.
Peristat: a computer-based perimetry self-test for cost-effective population screening of glaucoma.
Ianchulev T, Pham P, Makarov V, Francis B, Minckler D.
Doheny Eye Institute, University of Southern California, Los Angeles, California 90027, USA.
[要約の一部のみ抄訳]
対象・方法: ハンフリー自動視野計 Humphrey Field Analyzer を含む検査で緑内障または緑内障疑いと診断され、最高矯正視力 0.1以上などの他 3条件を満たした 33症例 58眼を対象として、前向き、比較観察試験を実施した。Peristatとハンフリー視野 Humphrey Visual-Fieldのスコアーを比較した。
結果: 検査時間は 2分から 5分であり、より高度の視野欠損を有する症例は検査時間が長くなった。3名のレビュアー (2名の緑内障専門医と1名の一般眼科医)による評価にて、Peristatの検査感度は 80%から 83%であった。軽度の視野欠損を呈する症例を除外すると、特異度 (特異性)は 94% から 97% 間のままで、検査感度は 84%-86%に上昇した
結論: Peristatは、緑内障スクリーニングとして費用効率が高い cost-effective、有益な公衆衛生ツールとなり得る。

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2005/11/09 at 11:00

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弱視眼とレーシック手術

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レーシック (LASIK)手術が普及しています。LASIK は Laser-Assisted In Situ Keratomileusis の頭字語です。LASIKを「近視矯正手術」と和訳することは、ガイドライン準拠? 意図的? 引用ミス?による誤訳と考えるべきです。
米国 FDAのウェブサイト:
 » http://www.fda.gov/cdrh/lasik/
エキシマレーザーを用いて、角膜 (眼球前面の透明な被膜) の形状を不可逆的 permanently に変化させる手技 procedure である。…下略…

LASIK stands for Laser-Assisted In Situ Keratomileusis and is a procedure that permanently changes the shape of the cornea, the clear covering of the front of the eye, using an excimer laser. A knife, called a microkeratome, is used to cut a flap in the cornea. A hinge is left at one end of this flap. The flap is folded back revealing the stroma, the middlesection of the cornea. Pulses from a computer-controlled laser vaporize a portion of the stroma and the flap is replaced. There are other techniques and many new terms related to LASIK that you may hear about.

上記の下略部分のキーワードは、
 » http://www.fda.gov/cdrh/lasik/glossary.htm
マイクロ角膜切開刀にて角膜フラップ(角膜弁)を作成し、フラップ下の角膜の形状を変えるためにレーザーを使用する

LASIK the acronym for laser assisted in situ keratomileusis which refers to creating a flap in the cornea with a microkeratome and using a laser to reshape the underlying cornea.

ということです。近視、乱視の他、遠視なども治療対象となります。ガイドラインによって治療年齢は制限されていますが、(海外の医学論文では)小児の眼治療にも数多く応用されています。
LASIK後の弱視成人眼における最高矯正視力の改善
J Cataract Refract Surg. 2004 Dec;30(12):2517-21.
Improvement in best corrected visual acuity in amblyopic adult eyes after laser in situ keratomileusis.
Sakatani K, Jabbur NS, O’Brien TP.
Refractive Eye Surgery Service, Wilmer Eye Institute, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, Maryland 21093, USA.
[要約の邦訳]
目的: 弱視を有する成人患者に対するレーシック (laser in situ keratomileusis LASIK)後、眼鏡レンズによる最高矯正視力 (BSCVA)の改善度を評価する。
方法: 屈折検査のときに弱視と診断され、LASIKを受けた連続症例の診療記録を後向きにレビューした。術前および術後の裸眼視力 (UCVA)と BSCVAを解析した。
結果: 19症例 21眼は弱視を有し、LASIK手術を受けたことが確認された。

  8症例 (42.1%) 弱視単独
  6症例 (31.6%) 不同視弱視 anisometropic amblyopia
  4症例 (21.1%) 斜視弱視 strabismic amblyopia
  1症例 (  5.2%) 不同視および斜視弱視
  
  11眼 (52.4%) 近視性乱視
    7眼 (33.3%) 遠視性
    3眼 (14.3%) 混合乱視

7眼 (33.3 %)は、術前 BSCVAに比べて術後 UCVAにおいて 1段階 1-line以上の改善があった。9眼 (42.8%)は、術前 BSCVAに比べて術後 BSCVAにおいて 1段階以上の改善があった。BSCVAは 11眼 (52.4%)において不変であり、1眼 (4.8%)で 2段階悪化した
結論: LASIK後、術後の最高矯正視力は弱視眼(有病歴)の 42.8%において術前に比べて改善し、術後裸眼視力は弱視眼の 33.3%において、術前の最高矯正視力に比べて改善した。

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2005/11/06 at 11:11

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