evidence-based medicine

Archive for 10月 2005

結膜リノスポリジウム症 rhinosporidiosis

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過去約40年間の PubMed によるオンライン医学文献検索では、キーワード「結膜 ポリープ」でヒットする病名は、インドなどの風土病「リノスポリジウム症」に限られます。
  NGO・国際医療ボランティア組織「AMDA」の解説ページ
 » http://www.amda.or.jp/contents/database/3-2/_index.html#10
一部引用 "インドなどの熱帯にみられる真菌 Rhinosporidium seeberi 感染症で、鼻粘膜やごく稀に結膜、外耳道、膣、直腸に発症し、病変は肉芽型、パピローマ型、ポリープ型がある。"とのことです。
強膜軟化とぶどう腫形成を伴う結膜リノスポリジウム症: 診断と治療
Cornea. 2000 Jan;19(1):30-3.
Conjunctival rhinosporidiosis associated with scleral melting and staphyloma formation: diagnosis and management.
Castelino AM, Rao SK, Biswas J, Gopal L, Madhavan HN, Kumar SK.
Sankara Nethralaya, Medical Research Foundation, Chennai, Tamil Nadu, India.
[要約の邦訳]
目的: 結膜リノスポリジウム症はインドの風土病であるが、強膜軟化とぶどう腫形成は極めて珍しい。この例外的な所見を呈した 3症例の臨床像と治療について報告する。
方法: 結膜リノスポリジウム症 3例の患者記録の後向きレビュー
結果: 若い健康成人に発症し、全症例で円蓋部結膜に局在していた。病変部結膜には、多数の灰白色の球状体がみられたが、ポリープ様病巣はなかった [but a polyp-like lesion was not present in any patient.]。診断は、臨床像と病変部結膜を擦過する検査結果に基づいた。治療は手術による方法で、感染結膜組織を切除し、同種強膜または自家骨膜によるぶどう腫の修復術を施行した。結膜病理学的に認められた手術不成功 1症例は、ぶどう腫が再発した。
結論: 結膜リノスポリジウム症は、若い健康成人の強膜ぶどう腫と関連性がある。特発性強膜拡張症 idiopathic scleral ectasia と本疾患との鑑別には、結膜リノスポリジウム症の臨床像の知識と臨床上疑いを強く抱くということが必要である。

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2005/10/15 at 12:54

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眼レプトスピラ症

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レプトスピラ症は、梅毒やライム病などと同じく全身感染後にぶどう膜炎を起こすスピロヘータ症 spirochetal disease の1つです。ぶどう膜炎はレプトスピラ症の晩期合併症の1つで、失明原因となります。
急性期には、下記のような全身症状とともに結膜浮腫 (結膜下出血を伴うこともある)を来たします。
Curr Opin Ophthalmol. 2002 Dec;13(6):381-6.
Ocular leptospirosis.
Rathinam SR.
Department of Ophthalmology and Uveitis Service, Aravind Eye Hospital and PG Institute of Ophthalmology, 1 Anna Nagar, Madurai 625 020, Tamil Nadu, India.
[論文を抄訳しました]
全身レプトスピラ症は通常、突然発症し、頭痛, 発熱, 全身倦怠感, 筋肉痛, 結膜浮腫 (結膜下出血を伴うこともある)を来たします。85%から 90%の症例では、自己限定的な非黄疸性発熱性疾患ですが、10%から 15%の症例では、重症敗血症性レプトスピラ症 (ワイル Weil病)となります。ワイル病は多臓器不全が特徴で、死亡率は 10%から 50%です。
レプトスピラ症: レプトスピラ属の病原性スピロヘータによる人畜共通感染症 zoonotic disease
ヒトでの感染成立: 正常粘膜または擦過傷のある皮膚から血液中に入り、いろいろな臓器 (肝臓, 腎臓, 肺, 心臓, 脳, 目, 子宮, 骨格筋, すい臓など)に感染します。
感染源: さまざまな家畜や野生動物の腎尿細管に定着しており、尿中に排泄されます。また、寄生しなくても自由生活生物 free-living organism として生存できる細菌であるため、貯め池や土壌も感染源になり、絶え間ない感染拡大が起こります。
誤診されやすい病気:

インフルエンザ influenza
無菌性髄膜炎 aseptic meningitis
脳炎 encephalitis
デング熱 dengue fever
腸チフス typhoid
肝炎 hepatitis
胃腸炎 gastroenteritis
マラリア malaria

眼病変: レプトスピラ症による再発性ぶどう膜炎は、馬の失明原因の第1位といわれています。
ヒトの眼レプトスピラ症 ocular leptospirosis は、

非肉芽腫性ぶどう膜炎 nongranulomatous uveitis
前房蓄膿 hypopyon [頻度 12%]
ベール様の膜状硝子体混濁 membranous veil-like opacities
視神経乳頭浮腫 disc edema
網膜静脈周囲炎 retinal periphlebitis

の所見を呈するぶどう膜炎 uveitis が特徴です。
通常、急性ですが、ときに慢性型、再発型となります。
炎症部位が主に前眼部であれば、発症は緩徐で軽度のことがあります。汎ぶどう膜炎のタイプでは、しばしば急性、重症、再発性となります。患眼は両眼性、片眼性どちらのタイプもみられます。
[ぶどう膜炎を来たす他の主要な原因との鑑別点]
 » ベーチェット Behçet 病: (眼レプトスピラ症では)網膜血管炎が再発しても、血管閉塞を来たすことはまれです。
ぶどう膜炎の発症機序: (馬の眼感染症などの研究により) レプトスピラ蛋白質が馬の眼組織抗原と類似していることから、臓器特異性自己免疫疾患 の可能性が示唆されています。

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2005/10/12 at 15:39

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脈絡膜黒色腫 全1632症例の治療法

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脈絡膜黒色腫に対する各種治療法による眼球の温存: 1632症例の監査報告.
Ophthalmology. 2004 May;111(5):977-83.
Conservation of eyes with choroidal melanoma by a multimodality approach to treatment: an audit of 1632 patients.
Damato B, Lecuona K.
St Paul’s Eye Unit, Royal Liverpool University Hospital, Liverpool, United Kingdom.
{要約の邦訳]
目的: 脈絡膜黒色腫に対する各種治療法による眼球温存について報告する。
研究デザイン: 前向き, 非比較, 介入による一連の症例研究。
参加者: 1993年から 2002年までの期間に単一センターで治療を受けた脈絡膜黒色腫 全1632症例
介入: 一次的眼球摘出術 (35%), 近接照射療法 brachytherapy (31.3%), 陽子線放射線治療 (16.7%), 経強膜局所切除術 (11.0%), 眼内切除術 endoresection (3.7%), 経瞳孔温熱療法 (2.5%), 光凝固術 (0.1%)。
主な結果判定法: 一次的および二次的眼球摘出術 Primary & secondary enucleation
結果:
一次的眼球摘出術の主要な予測因子 (ロジスティック回帰):
年齢 61才超 (オッズ比 [OR], 2.4; 95%信頼区間 [CI], 1.8%-3.2%);
視力低下 (OR, 2.5; 95% CI, 1.9%-3.2%);
視神経乳頭と中心窩に近接しているか、これら組織を巻き込んだ後方進展(OR, 1.7; 95% CI, 1.2%-2.4%);
毛様体, 虹彩, 隅角の円周方向に拡がる(OR, 3.1; 95% CI, 1.8%-5.5%);
基底部腫瘍直径 (OR, 3.5; 95% CI, 2.4%-5.0%);
腫瘍の高さ (OR, 6.3; 95% CI, 4.5%-8.9%).
保存的治療後の二次的眼球摘出術は、5年後で 11.1% (95% CI, 8.6%-13.6%)であった (保険数理上の比率)。
二次的眼球摘出術の独立した予測因子 (Cox 多変量解析):
鼻側/正中部の腫瘍位置 (リスク比 [RR], 2.6; 95% CI, 1.6%-4.4%);
視神経乳頭に波及 (RR, 2.2; 95% CI, 1.2%-4.1%);
腫瘍直径 (RR, 1.2; 95% CI, 1.0%-1.5%);
腫瘍の厚み (RR, 1.8; 95% CI, 1.5%-2.1%).
結論: 各種治療法に従い、患者の 65%は保存的な治療法を受け、このうち 89%の患者は 5年間眼球を温存したが、腫瘍の直径、厚さ、視神経乳頭への波及、冠状方向の位置によって成功した。
[訳者注] 二つの集団における疾病リスクの比は、オッズ比 odds ratio [OR], リスク比 risk ratio [RR]と呼ばれますが、調査研究法などによる用語の違いであって、どちらも大きいとリスクが高いことを意味します (例 OR, 2: 2倍のリスクがある)。

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2005/10/11 at 22:50

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アデノウイルス結膜炎と長期ウイルス感染(10年)

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流行性角結膜炎や咽頭結膜熱 (通称 プール熱)などの原因ウイルスであるアデノウイルスが眼表面に長期 (10年)存続することを証明した最新の論文です。
[訳者注] 医学用語 papillary conjunctivitis は「乳頭状結膜炎」 「乳頭性結膜炎」とよばれることもありますが、「乳頭結膜炎」と訳しました。
結膜炎10年後の涙液層におけるアデノウイルス存続のエビデンス
J Med Virol. 2005 Oct;77(2):227-31.
Evidence for persistence of adenovirus in the tear film a decade following conjunctivitis.
Kaye SB, Lloyd M, Williams H, Yuen C, Scott JA, O’Donnell N, Batterbury M, Hiscott P, Hart CA.
St. Paul’s Eye Unit, 8Z Link, Royal Liverpool University Hospital, Prescot Street, Liverpool, United Kingdom.
[要約の邦訳]
アデノウイルス結膜炎に続発し慢性乳頭結膜炎を来たすことが記載されています。しかしながら、アデノウイルスが涙液層 tear filmと結膜にどのぐらいの期間存続できるか知られていません。アデノウイルス結膜炎発症後にウイルスが眼表面に存続しているか確定するために、アデノウイルスが10年前に検出されたアデノウイルス結膜炎既往患者 304症例に持続症状または再発症状に関する質問表を送り、本調査に参加するよう募集した。患者の診察を行い、涙液層洗浄液, ろ紙, 採取用綿棒を使用し、両眼から涙と結膜細胞を収集し、ウイルス分離を行った。眼部の検体からの抽出DNAは単純疱疹ウイルス (thymidine kinase) とアデノウイルス (hexon) 遺伝子に対するプライマーを使用し増幅した。アデノウイルス単位複製配列 amplicon が解析され、オリジナルの血清型と比較した。30 症例が参加し、このうち 19例は持続性乳頭結膜炎 persistent papillary conjunctivitis を呈していた。アデノウイルス DNAのエビデンスは、30例中 17例で検出され、このうち 15例は慢性乳頭結膜炎を呈していた。アデノウイルス DNA は乳頭結膜炎と有意に関連していた (P = 0.03)。アデノウイルス単位複製配列 amplicon は 6症例で解析に成功した。4症例では アデノウイルス 3型が寄生 harbor しており、10年前に最初に感染したものと同じ血清型であった。2症例は、元々アデノウイルス 3型であったが、現在の血清型は 4型であった。眼表面にアデノウイルスが感染すると、持続性または再発性結膜炎に進展しやすくなる可能性があり、その所見はアデノウイルス DNAの長期間存続の証拠との関連性があるように思われます。(©) 2005 Wiley-Liss, Inc.

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2005/10/10 at 22:42

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