evidence-based medicine

Archive for 9月 2005

アスベストのinhalation unit risk estimate(EPA)

leave a comment »

アスベストに関する米国環境保護庁 (The U.S. Environmental Protection Agency EPA) の情報です。
彼または彼女が一生を通じて、0.000004 繊維数 fibers/mL のアスベストを含む空気を吸い続けたとしたら、その人は理論上、この化学物質を含む空気を吸う直接的な影響として癌が発生する可能性の増加は、百万分の一のチャンス増加に過ぎないであろうと、EPAは算出した。
inhalation unit risk estimate 吸入単位リスク推定 2.3 × 10-1 (fibers/mL)-1 とは、
 生涯の吸入量 » 発ガンのチャンス増加
 0.000004 fibers/mL » 100万分の1 以下
  0.00004 fibers/mL » 10万分の1 以下
   0.0004 fibers/mL » 1万分の1 以下
[引用ページおよびPDF]
  Asbestos: Health and Exposure [PDF 17KB]
  US EPA Office of Air Quality Planning Standards (OAQPS)
 » http://www.epa.gov/asbestos/help.html#Docs

EPA estimates that, if an individual were to breathe air containing asbestos at 0.000004 fibers/mL over his or her entire lifetime, that person would theoretically have no more than a one-in-a-million increased chance of developing cancer as a direct result of breathing air containing this chemical.・・・下略・・

アスベスト: 健康と暴露/ハザード・サマリー
・ 動物、ヒトに対する急性 (短期) の影響に関する研究はありません。
・ ヒトが吸入によりアスベストに慢性 (長期) 曝露したとき アスベスト症(石綿症 asbestosis) とよばれる肺疾患 になりうるように、肺への影響はアスベストによる健康への重大な懸案事項です。
アスベスト症は息切れと咳が特徴で、重症の呼吸機能障害、死にいたることがあります。
・ アスベストの慢性吸入暴露による他の影響として、肺を取り囲む膜の中に瘢痕様組織が蓄積したり、肺高血圧症になったり、免疫能に影響することがあります。
・ 米国環境保護庁 (The U.S. Environmental Protection Agency EPA) はアスベストの基準濃度 (Reference Concentration RfC), 参照用量 (Reference Dose RfD) を規定しなかった。
アスベスト吸入による生殖機能や発育への影響に関する研究はなく、動物での経口摂取実験では生殖機能や発育へのいかなる影響も報告されていません。
・ 吸入による曝露はヒトにおいて、肺癌、中皮腫 (腹腔を内張りしたり、内臓を取り囲む薄い被膜に発生する稀な癌 mesothelioma) 、(可能性であるが)胃腸の癌を起こすように、癌はアスベスト曝露による重大な懸案事項です。アスベストの経口曝露は、食道、胃、腸管の癌に関連する可能性があります。しかし、経口曝露からの発癌に関するエビデンスについては決定的ではありません。EPA は、主に吸入による研究に基づいてアスベストをヒトの発癌物質 Group A と分類し、吸入単位危険性推定 2.3 × 10-1 (繊維数/mL fibers/mL)-1 と算出しました。

* Please Note: The main sources of information for this fact sheet are EPA’s Integrated Risk Information System (IRIS), which contains information on the carcinogenic effects of asbestos including the unit cancer risk for inhalation exposure, and the Agency for Toxic Substances and Disease Registry’s (ATSDR’s) Toxicological Profile for Asbestos. Other secondary sources include the Hazardous Substances Data Bank (HSDB), a database of summaries of peer-reviewed literature, and the Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS), a database of toxic effects that are not peer reviewed.

広告

Written by support

2005/09/19 at 11:31

カテゴリー: アスベスト、その他

壊死性筋膜炎と化膿レンサ球菌

leave a comment »

眼瞼壊死と眼窩周囲壊死性筋膜炎. 症例報告と文献レビュー
Ophthalmology. 1991 Jan;98(1):92-8.
Eyelid necrosis and periorbital necrotizing fasciitis. Report of a case and review of the literature.
Kronish JW, McLeish WM.
Department of Ophthalmology, Bascom Palmer Eye Institute, University of Miami School of Medicine, FL 33101.
[要約の邦訳]
壊死性筋膜炎は稀ではありますが、皮膚の壊疽、化膿性筋膜炎、血管内血栓を特徴とする重篤な軟部組織感染症です。本疾患は通常、糖尿病やアルコール依存症などの全身的な問題を有する患者にみられ、一般的に外傷が先行します。化膿レンサ球菌 Streptococcus pyogenes と黄色ぶどう球菌 Staphylococcus aureus が最も多い起炎菌ですが、多種の通性嫌気性細菌が同時検出されることもあります。顔面や眼周囲領域の感染はまれです。眼窩周囲壊死性筋膜炎から眼瞼壊死に進展した症例について、以前に記述された他 15症例の臨床像のレビューと自験例 1例を報告します。壊死組織の早期外科的創面切除 (debridement 仏:デブリードマン)と排膿、および適切な非経口的抗菌薬投与が治療の柱です。眼窩周囲に波及した患者の死亡率は 12.5% で、予後は診断と治療の遅れによる悪影響として知られていたり、顔面から頚部への感染症の拡大を伴ったりします。皮膚移植による眼瞼再建術は瘢痕性眼瞼退縮、眼瞼位置異常、兎眼などの合併症を回避するために、ほとんどの症例において必要でした。
  参照ページ: 化膿レンサ球菌感染症
 » http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsb/infect/shikkan/4401rens_3.html
化膿連鎖球菌 Streptococcus pyogenes, S pyogenes (別称: A 群ベータ溶血性連鎖球菌 Group A beta-hemolytic Streptococcus) は、他に猩紅熱, 伝染性膿痂疹(とびひ) impetigo contagiosa, 咽頭炎,丹毒などの起炎菌です。
[他の文献]
元来健康な小児の感染例: 非常に稀ではありますが、本菌により眼瞼壊死を来たした小児例 2症例の報告があります。
Can J Ophthalmol. 1991 Dec;26(7):386-90.
Streptococcal lid necrosis in previously healthy children.
Stone L, Codere F, Ma SA.
Department of Ophthalmology, McGill University, Montreal, PQ.
[要約の邦訳] 省略します。

Written by support

2005/09/18 at 15:26

カテゴリー: Uncategorized

変性近視, 病的近視と Forster-Fuchs 網膜斑

leave a comment »

日本では Fuchs’ spot (フックス斑) とよばれることが多いようです。
Duke-Elder 全書には、「円形のクラレット色(濃い赤紫色)または黒色の斑点で、覆っている網膜は萎縮したり、暗点を残すことがある」と記述されています。
別称: Forster-Fuchs spot, Forster-Fuchs’ spot, Fuchs spot, Fuchs’ fleck など
  Forster-Fuchs retinal spot
» http://www.patient.co.uk/showdoc/40002185
[一部抄訳]
Forster は1862年、重度の近視眼に伴った網膜下新生血管について、Fuchs は中心窩または中心窩近傍の色素性病変について記述しました。これらは同一(訳者注: 疾患)プロセスの両部分です。

Forster described subretinal neovascularisation in severely myopic eyes in 1862 and Fuchs described a pigmented lesion at or near the fovea. They are both part of the same process.

Investigations 原因研究(引用文献 1): フルオレセイン蛍光眼底造影検査は、多くの症例において、基礎疾患として脈絡膜由来の網膜下新生血管の存在を示している。

Fluorescein angiography shows subretinal neovascularization from the choroid as the basic underlying disease in most cases.

Prognosis 予後(引用文献 2): Moorfields Eye Hospital の研究 (1983年)では、介入がないと43%の患者で視力は 2段階以上低下し、さらに 60%の患者は最終追跡調査時点で 0.1以下の視力となり、一般的に予後は不良であった。視力と中心窩から新生血管組織までの距離とは直接の因果関係があり、視力と病変サイズとは逆相関した。早期の視力低下を伴う短期間の新生血管増殖相があるように思われる。

A study from Moorfields in 1983 showed a generally poor prognosis without intervention with 43% of the patients losing 2 or more lines of vision, while 60% were less than or equal to 6/60 at last follow-up. There was a direct relationship between visual acuity and the distance of the neovascular tissue from the fovea, and an inverse relationship between acuity and the size of the lesion. There seems to be a short neovascular growth phase, with early visual loss.

[引用文献]
(1) Fuchs 斑: 検眼鏡およびフルオレセイン蛍光眼底撮影法による研究
Ann Ophthalmol. 1977 Nov;9(11):1433-43.
The Fuchs’ spot: an ophthalmoscopic and fluorescein angiographic study.
Levy JH, Pollock HM, Curtin BJ.
[要約の邦訳]
強度近視にみられる Fuchs 斑 Fuchs’ spot の眼底検査所見とフルオレセイン蛍光眼底撮影所見との相関関係を示す。検眼鏡で見られるいろいろな変化は、網膜色素上皮および神経感覚網膜の漿液性剥離と出血性剥離双方が本病変に関連することを示唆している。しかしながら、フルオレセイン蛍光眼底撮影検査は、レビューした多くの症例において、基礎疾患として脈絡膜由来の網膜下新生血管の存在を示している。強度近視眼の色素性黄斑症 pigmented maculopathy の検眼鏡的所見には幅広いバリエーションがあるので、用語"フックス斑 Fuchs’ spot"で表すよりも記述的アプローチを必要としている。傍中心部の房状(血管)に対して進行を遅らせるレーザー光凝固治療が可能なことがあるので、フルオレセイン蛍光眼底撮影法は新生血管病変を描写するために必要である。

(2) 近視眼における円板状変性の視力予後
Ophthalmology. 1983 Aug;90(8):923-6.
Visual prognosis of disciform degeneration in myopia.
Hampton GR, Kohen D, Bird AC.
[要約の邦訳]
Forster-Fuchs’ spot を呈し、血管造影検査により網膜下新生血管による視力低下と診断され、Moorfields Eye Hospital 通院中の近視眼の症例で、視力低下の病歴は短く、他の眼疾患のない連続する症例を対象として後向き調査を行った。追跡調査中の視力は診察時の視力と比べられ、患者年齢、追跡期間だけでなく、新生血管複合体のサイズや部位に関係していた。43%の患者で 2段階以上の視力が低下し、さらに 60%の患者は最終追跡調査時点で 0.1以下の視力となり、一般的に予後不良の結果であった。予想どおり、視力と中心窩から新生血管組織までの距離とは直接の因果関係があり、視力と病変サイズとは逆相関した。早期の視力低下を伴う短期間の新生血管増殖相があるように思われる。

Written by support

2005/09/16 at 17:02

カテゴリー: 血管新生

ポビドン povidoneとコンタクトレンズ

leave a comment »

潤滑剤 lubricantである ポビドン povidone を含有する点眼液やコンタクトレンズに吸着させた商品などが今後国内でも普及する可能性があります。国内製品の一部では、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース(HPMC), ポビドン(povidone) などのルブリカントは「粘稠化剤」と表示されています。また、ポビドン povidoneは合成高分子物質 (ポリビニルピロリドン polyvinylpyrrolidone PVP 平均分子量 25,000) のことです。
  エントリー「潤滑剤 ルブリカントと人工涙液型点眼液」
» http://infohitomi.biz/archives/000051.html
  エントリー「コンピュータ視覚症候群とドライアイ」
» http://www.qqiac.com/archives/000146.html
もご覧下さい。

コンピュータ視覚症候群 computer visual syndrome を呈するコンタクトレンズ装用者に対する 2%ポビドン防腐剤無添加点眼液の効果: 予備的研究.
Eye Contact Lens. 2004 Jan;30(1):34-9.
Effect of povidone 2% preservative-free eyedrops on contact lens wearers with computer visual syndrome: pilot study.
Guillon M, Maissa C, Pouliquen P, Delval L.
Optometric Technology Group Ltd., 42 Vauxhall Bridge Road, London SW1V 2RX, UK.
[要約の邦訳]
目的: ポビドン 2%防腐剤無添加・潤滑剤点眼液 povidone 2% preservative-free lubricating eyedrops は コンタクトレンズ装用者のコンピュータ視覚症候群 computer visual syndrome を減少させることを提示し、最善の点眼手順を確認すること。
方法: 試験薬には FILMABAK社, CE-MARKED取得 防腐剤無添加潤滑剤 ポビドン povidone 2% 点眼薬 (ABAK™ システム) を用いました。コンタクトレンズを装用しコンピュータを使用している間、3通りの投薬様式を評価しました: 1時間毎点眼, 症状があれば symptom-related 点眼, 患者本人による点眼。
結果: コンピュータを持続的に使用しているとき、ポビドン povidone 2% 使用に伴う諸症状の減少は、統計学的、臨床的に有意でした。しかしながら、諸症状は試験点眼薬を使っても完全に消失しませんでした。3通りの方法は、同様の有益な効果がありました。眼組織に有意な変化は観察されず、コンピュータの持続的使用後に記録した染色所見の程度も低いままでした。また、試験を行った 3通りの防腐剤無添加潤滑剤 2% ポビドン点眼薬の使用法は、どれでも動体視力 dynamic visual acuity に軽度の改善がみられました。
結論: 2% ポビドン防腐剤無添加点眼液を使用すると、コンピュータの持続的使用中にみられる諸症状の改善に結びつきました。3つの点眼方法のどの方法であっても、目の疲労感、乾燥感、目の焦点を合わせることの困難さを減少させました; 角膜表面には変化がないままでした; さらに、動体視力は改善しました。よって、もっとも患者に優しい点眼方法 (患者自身が症状自覚時に点眼する) をコンピュータ視覚症候群を伴うコンタクトレンズレンズ装用者に推奨してもよいと考えます。

Written by support

2005/09/13 at 11:30

カテゴリー: 粘稠化剤

コンピュータ視覚症候群とドライアイ

leave a comment »

computer vision syndrome (CVS コンピュータ ビジョン シンドローム) の原因として、ドライアイ dry eye が圧倒的に多いようです。
コンピュータ視覚症候群: レビュー.
Surv Ophthalmol. 2005 May-Jun;50(3):253-62.
Computer vision syndrome: a review.
Blehm C, Vishnu S, Khattak A, Mitra S, Yee RW.
Department of Ophthalmology and Visual Sciences, University of Texas at Houston, Hermann Eye Center, Houston, Texas, USA.
[要約の邦訳]
コンピュータが日常生活の一部になるにつれて、ますます多くの人々がコンピュータ使用に伴ういろいろな目の症状を経験するようになっています。

  eyestrain 眼精疲労
  tired eyes 疲れ目
  irritation 目の刺激症状
  redness 目の充血
  blurred vision かすみ
  double vision 複視

を含む諸症状は、まとめて コンピュータ視覚症候群 computer vision syndrome と称されます。本論文では、症候群の特徴と現時点で利用可能な治療法を記載します。computer vision syndrome の諸症状は、眼性 (眼表面の異常または目の調節痙攣) および/または、眼外性 (人間工学的) の病因によって起こる可能性があります。しかしながら、computer vision syndrome 諸症状の主因は圧倒的に ドライアイ dry eye のようです。照明、グレア、ディスプレイの質、リフレッシュの頻度、放射線などのいろいろなディスプレイ特性による視覚効果についても論じます。治療に際して、目の治療とワークステーションの調整を組み合わせた多角的なアプローチを要します。適切な照明、グレア防止フイルター、コンピュータ・モニターの人間工学的な配置、規則的な休憩時間が視覚の快適さを改善させるのに役立つ可能性があります。潤滑剤を含有する点眼液や特殊なコンピュータ用眼鏡は、眼表面に関連する症状の緩和を助けます。computer vision syndrome を起こす過程をはっきりと解明し、これら原因を解決する有効な治療法を開発・改善させるために、より一層の研究が行われる必要があります。

Written by support

2005/09/12 at 18:40

カテゴリー: Uncategorized

潤滑剤 ルブリカントと人工涙液型点眼液

leave a comment »

国内では、パソコン使用者、コンタクトレンズ装用者、ドライアイ患者は、目の乾燥感の緩和のために、「人工涙液型点眼液」を薬局で購入したり、本剤を医療機関にて処方されたりすることが少なくないと思います。潤滑剤 (ルブリカント lubricant) とは、欧米諸国では一般的な薬学・医学用語として扱われており、以前から数多く販売されています。国内では、潤滑剤の発売がようやく本格化しそうですが、残念なことに「潤滑剤」を商品に表示することは許可されていないようです。国内製品の一部では、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース(HPMC), ポビドン(povidone) などのルブリカントは「粘稠化剤」と表示されています。人工涙液型点眼液、ソフトコンタクトレンズおよびソリューションの中の「有効成分, 成分」を見ると、「潤滑剤」であるか否か確認できますので、薬剤師や眼科医にお尋ね下さい。
なお、「潤滑剤」使用による効果は下記論文のとおり、物理的、生理学的な特性による効果だけでなく、心理的効果もあるようです。

コンタクトレンズソリューションに含まれる潤滑剤 ルブリカントの生体内および生体外の効果
Ophthalmic Physiol Opt. 2002 Jul;22(4):319-29.
In vitro and in vivo effects of a lubricant in a contact lens solution.
Thai LC, Tomlinson A, Simmons PA.
Department of Vision Sciences, Glasgow Caledonian University, UK.
[要約の邦訳]
目的: 眼潤滑剤 ヒドロキシプロピル・メチルセルロース(HPMC hydroxypropyl methylcellulose) を含有するマルチパーパスコンタクトレンズソリューション (訳者注: 洗浄・すすぎ・保存液のこと)の物理的特性と涙液層機能について研究した。
方法: 実験室において、生体外で一晩漬けた overnight soak 後、HPMCの有無によるマルチパーパスソリューションの湿潤特性とハイドロゲルレンズに対するHPMCの結合力を測定した。HPMC含有、非含有のマルチパーパスソリューションを使用している 35名のハイドロゲルレンズ装用者を対象として、涙液生理学を評価した。

Pre-lens tear evaporation rate (TER) レンズ前面涙液蒸発速度
tear thinning time (TTT) 涙液薄層化時間
tear film structure (TFS) 涙液層構造

を記録し、自覚的反応を(データとして)取得した。
結果: 実験による測定値は、一晩ソリューションに漬けたあと、HPMC含有溶液では湿潤性改善とレンズからの持続的な HPMC放出を示唆していた。HPMC含有溶液の使用時、Pre-lens TTT は延長し (p < 0.001), pre-lens TFS は改善した (p = 0.034)。Pre-lens TER と自覚的症状の比較では、有意な差がなかった。
結論: 体外、生体内の結果は、ハイドロゲルレンズ上に、液層をより厚く持続的に形成し、コンタクトレンズ装用者の涙液機能改善に導くHPMC (の特性)と一致する。

ソフトコンタクトレンズ潤滑剤の自覚症状とレンズ脱水に対する効果
CLAO J. 1991 Apr;17(2):114-9.
The effect of soft lens lubricants on symptoms and lens dehydration.
Efron N, Golding TR, Brennan NA.
Department of Optometry, University of Melbourne, VIC, Australia.
[要約の邦訳]
ソフトコンタクトレンズ潤滑剤の効果と作用機序を確認するため、無作為対照化二重盲検試験 controlled, double-masked, randomized studyを行った。症状を有する 30名のソフトコンタクトレンズ (hydroxyethylmethacrylate HEMA) 装用者は、6時間の装用中、2時間毎に生理食塩水、ソフトレンズ潤滑剤 2剤のうちの1剤のいずれかを点眼し、レンズ含水率と乾燥症状について評価された。眼乾燥感が短期間または長期間にわたり自覚的に緩和することは、ソフトコンタクトレンズ潤滑剤 2剤で認められた(ANOVA, P < 0.05)。しかしながら、どちらの潤滑剤であっても生理食塩水を有意に上回ることはなかった。コンタクトレンズの脱水はどのような点眼液であっても有意に減少しなかった。ソフトレンズ潤滑剤による症状緩和の理由として物理的(レンズの加湿)や生理学的な根拠よりむしろ心理的な理由を軽視してはいけない。

Written by support

2005/09/12 at 15:35

カテゴリー: 粘稠化剤

乱視用ソフトコンタクトレンズと角膜低酸素状態

leave a comment »

1日ディスポーザブルタイプ, 2週間頻回交換タイプ, 通常タイプの乱視用ソフトコンタクトレンズの多くは、プリズムバラスト・デザインが採用されています。このデザインのレンズでは、角膜の下方が低酸素状態 hypoxia になりやすい欠点があります。しかし、メーカー各社は、角膜中央での測定値以外は公表しないため、処方箋を発行する医師やコンタクトレンズ販売店の管理者も詳しい情報を知らないことがありますので、ご注意下さい。

"バラスト ballast" » 英辞郎 on the Web » 船の底荷, 脚荷,気球の砂袋
プリズムバラスト・デザイン: 眼表面でレンズが回転しないように、レンズの下方が厚くなっています。瞬目(まばたき)のとき、閉瞼時に下眼瞼は鼻側に数 mm移動するため、レンズが回転しようとしますが、下方の厚い部分が先に押し出されて、回転を防止します。
"スラブ slab" » 厚板
ダブル・スラブオフ slab-off レンズ: 上下の眼瞼の下に入るレンズ部分を加工し薄くしたもの。

ハイドロゲル/トーリック/プリズムバラスト/コンタクトレンズ各部位の酸素透過率
Optom Vis Sci. 1996 Mar;73(3):164-8.
Oxygen transmissibility at various locations in hydrogel toric prism-ballasted contact lenses.
Eghbali F, Hsui EH, Eghbali K, Weissman BA.
Jules Stein Eye Institute, UCLA School of Medicine, USA.
[要約の邦訳]
目的: 眼表面の低酸素状態は角膜の代謝に悪影響を与えることが知られている。コンタクトレンズの酸素透過率 (Dk/L値 cmmL O2/s mL mm Hg) は酸素透過係数 (Dk値 cm2 ml O2/mm Hg mL mm Hg) をレンズ厚 (L cm)で割って得られる一次関数である。また、最近、涙液交換や涙液の混合がないとき、角膜を直接覆っているコンタクトレンズ部分の酸素透過率に角膜は敏感であることも示された; すべてのヒドロゲル(ハイドロゲル)・コンタクトレンズに当てはまる。ハイドロゲルトーリックコンタクトレンズは不均一な厚み形状のレンズのため、垂直子午線方向に沿ってレンズ厚を測定し、局所酸素透過率 (Dk/L)を算出した。
方法: トーリック・ハイドロゲルコンタクトレンズ ブランド品 6品目(プリズムバラスト・デザイン prism-ballast 5品目, ダブルスラブオフ・デザイン double-slab off 1品目)の異なる処方トーリックレンズ 16個とブランド 2品目の異なる処方球面レンズ 12個(対照レンズ)の垂直子午線方向に沿った 5か所のレンズ厚を測定した。Dk値 (38°C) は素材毎に公称のコンタクトレンズ含水率、既知の相関関係から計算した。
結果: 全レンズの平均 Dk/L値では、中央からプリズムバラストトーリックレンズの上方が最大で、トーリックレンズの下方が最低であった。
  表示: 平均 +/- 標準偏差
  単位: 10(-9) cmmL O2/s mL mm Hg

12 +/- 2  上部(中心から 6mm上方)
13 +/- 4  上部(中心から 3mm上方)
  8 +/- 4  中央部
6 +/- 1  下部(中心から 3mm下方)
4 +/- 2  下部(中心から 6mm下方)

共分散分析法によると、プリズムバラスト・コンタクトレンズの部位別結果には統計的に有意な差があった(F = 203.11, p < 0.00005)。非プリズムバラストトーリックレンズ 1品目と球面デザインの対照レンズは、垂直子午線上での差は最小であった。
よって、結論として臨床医は、プリズムバラスト・ハイドロゲルレンズ装用中には特に角膜の下方領域の低酸素状態に対する生理的反応を十分にモニターしなければならない。

[論文結果の一部について]
プリズムバラストトーリックレンズは、ブランド 5商品 (各16枚)について調査していますが、Lens Brand B:(70%) は測定 5個所すべておいて高いDk/L値(高含水率 70%による)であったため除外し、ブランド 4商品の部位別 Dk/L値およびレンズ厚(mm)を計算しました(Table 2)。要約中の数値とは、計算上、分母・分子が異なります。

Table 1. Lens brand and power selection
Lens Brand(Water Content) » A:(45%), C:(55%), D:(55%), E:(55%)
(訳者注: Table 1 の一部のみ転載しました)

Table 2. Dk/L and thickness for brands A, C, D, and E.
8.95 +/- 1.3   0.15 +/- 0.37 上部(中心から 6mm上方)
8.92 +/- 1.9   0.15 +/- 0.52 上部(中心から 3mm上方)
6.12 +/- 2.0   0.23 +/- 0.97 中央部
4.22 +/- 0.6   0.30 +/- 1.20 下部(中心から 3mm下方)
3.40 +/- 0.3   0.40 +/- 1.56 下部(中心から 6mm下方)

(訳者注: Table 2の左端は Dk/L値, 中央はレンズ厚(mm)の平均 +/- 標準偏差。論文の数値を引用しました)

[追記 2005/12/19]
ディスポーザブル コンタクトレンズの局所酸素透過率
Cont Lens Anterior Eye. 2003 Dec;26(4):189-196.
Local oxygen transmissibility of disposable contact lenses.
Bruce A.
Clinical Vision Research Australia, Victorian College of Optometry, Corner Cardigan and Keppel Sts, Carlton 3053, Vic., Australia; Department of Optometry and Vision Sciences, University of Melbourne, Corner Cardigan and Keppel Sts, Carlton 3053, Vic., Australia.
[要約の一部、乱視用レンズに関する部分だけ抄訳]
検査対象としたコンタクトレンズは、非乱視用ディスポーザブルレンズ ブランド20品目の他、乱視用(トーリック)レンズ ブランド 8品目(屈折度数 球面 -8.00D から +4.00, 乱視度数 -1.00D/-1.25D 乱視軸 180°)であった。レンズの厚みが最大の部位での酸素透過率 (局所酸素透過率 local Dk/t value)を測定し、正常の閉瞼状態で角膜に供給される酸素量相当ないし、それを超えるとされる基準 Dk/t 12 (Fatt units. Benjamin によって規定 [Int. Contact Lens Clin. 23 (1996) 188])と比べたところ、

None of the disposable toric lenses had a minimum Dk/t of 12 or more.

最低限の酸素透過率 Dk/t値 12、またはそれ以上のディスポーザブル乱視用レンズはなかった。

Written by support

2005/09/10 at 17:01

カテゴリー: 角膜