evidence-based medicine

無症状の網膜裂孔 格子状変性

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Wilkinson 氏 (所属 Department of Ophthalmology, The Greater Baltimore Medical Center and The Johns Hopkins Hospital, Maryland, USA.) は、無症状の網膜裂孔ないし格子状変性に対する外科的治療が網膜剥離予防のために有効性であるとの充分なエビデンスがないことを3編の論文で報告しています。
(1) Evidence-based analysis of prophylactic treatment of asymptomatic retinal breaks and lattice degeneration.
Ophthalmology. 2000 Jan;107(1):12-5;
(2) Cochrane Database Syst Rev. 2001;(3):CD003170. Review.
(3) Cochrane Database Syst Rev. 2005 Jan 25;(1):CD003170.
最新のコクラン・データベースのうち、オンラインで無料で入手できる部分を邦訳しました。
網膜剥離予防のための無症状性網膜裂孔および格子状変性の治療
Interventions for asymptomatic retinal breaks and lattice degeneration for preventing retinal detachment
Wilkinson C
The Cochrane Database of Systematic Reviews: Reviews 2005 Issue 1 John Wiley & Sons, Ltd Chichester, UK DOI: 10.1002/14651858.CD003170.pub2
http://www.mrw.interscience.wiley.com/cochrane/clsysrev/articles/CD003170/frame.html
背景: 無症状の網膜裂孔や格子状変性は、のちに網膜剥離を来たすリスク因子で、(検眼鏡で)見ることができる病変です。硝子体液が裂孔や円孔を通り網膜内に移動し、網膜が網膜色素上皮から分離すると、網膜剥離が発生します。レーザー光凝固術や冷凍凝固術にて網膜裂孔や格子状変性を取り囲むように癒着を形成することは、網膜剥離を予防する効果的な手段としてこれまで推奨されていました。この治療法は光視症 flashes や飛蚊症 floaters の症状があり、網膜裂孔の部位で網膜に持続的な硝子体牽引を来たしている網膜裂孔では治療価値があります。その理由は、このような有症状網膜裂孔は高率で網膜剥離へ進展するからです。急性症状を伴わない網膜裂孔および円孔、格子状変性が網膜剥離を続発する網膜裂孔の部位になることは有意に少なく、本治療の有効性が証明されていないという事実があるにも関わらず、本疾患の治療が推奨されています。
目的: 本レビューの目的は無症状の網膜裂孔や格子状変性に対する治療の有効性を評価することでした。
調査法: コクラン・ライブラリー(Issue 1 2005) のthe Cochrane Central Register of Controlled Trials (the Cochrane Eyes and Vision Group Trials Registerを含む), MEDLINE (1966年から2005年2月), EMBASE (1980年から2005年2月)を調査しました。網膜剥離に関する教科書、関連論文の文献リストを追加調査報告のために利用し, 他の公開、非公開の研究の詳細を知るために専門家に連絡しました。
選択基準: 無症状の網膜裂孔や格子状変性に対する1つの治療法を他の治療法や未治療群と比較するランダム化比較試験を含む研究をレビューしました。
データ収集と解析: 最初に著者一人が調査結果を評価し、関連研究を収集しました。基準に合致する研究はなかったので、方法論の質を評価できるものはなかった。データは抽出されず、メタ解析も出来なかった。
主な結果: 本レビューの採用基準に適合したトライアルは発見できなかった
著者結論: 無症状の網膜裂孔ないし格子状変性を伴う患眼に対する網膜剥離予防目的の外科的治療の有効性については結論が得られなかった。エキスパート医の意見のコンセンサスに基づいて、治療を推奨するとの論文がいくつかあったが、入手できる最上のエビデンスとは矛盾します
概要: 網膜剥離と視力障害を予防するために網膜周囲に行う手術の有効性に関して充分なエビデンスはありません。
網膜は眼球の内面にある光を感じる層です。時々、網膜の内層の部分が破れ、層間に液体が貯留し、外側の着色層から剥離します (網膜剥離). 極度に冷却したり加温する手術により、網膜の再接着を促す瘢痕組織が形成されます。しかし、手術により網膜が剥離する前に裂孔治癒を促進することもできます。予防的手術が網膜剥離のリスクの減少に役立つならば見られる充分なエビデンスがなかったことが本レビューで判明しました。さらなる調査が必要です。
以上
訳者注: 2行目の(検眼鏡で) は訳者が補足したもの。

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2005/04/23 @ 23:19

カテゴリー: Uncategorized

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