evidence-based medicine

網膜剥離 年間発生頻度 危険因子

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最近の報告では、裂孔原性網膜剥離 ( Rhegmatogenous Retinal Detachment RRD ) の年間発生頻度は、5-14人/人口10万人 (1987年以降の4論文) で、わが国においても、1万人あたり1人と言われています。リスク(危険)因子については、従来から 年齢、白内障手術、近視、眼外傷の既往歴 がよく知られています。
Polkinghorne PJ, Craig JP による下記の疫学調査論文の要約をお伝えします。
北ニュージーランドにおける裂孔原性網膜剥離の調査: 疫学とリスク因子
Clinical and Experimental Ophthalmology 2004; 32: 159-163.
Northern New Zealand Rhegmatogenous Retinal Detachment Study: epidemiology and risk factors
Philip J Polkinghorne FRCOphth and Jennifer P Craig PhD
Department of Ophthalmology, University of Auckland, Auckland, New Zealand
国・地域 年間発生頻度(10万人あたり) (調査期間) 患者数 [表示順]
* 北ニュージーランド 11.8 人 (1997/5-1998/4) 141人 (注1)
* Olmstead (カウンティ 米国) 17.9 人 (1976-1995) 311人 (注2)
* Örebro & V&#228rmland (スウェーデン) 12.9 人 (1976-1980) 289人 (注3)
年齢層別 年間発生頻度 (人/10万人) (上記の調査順)
[0-29才]
北NZ   4.7
USA    5.0
Sweden 2.3
[30-59才]
北NZ   10.0
USA    18.3
Sweden 10.4
[60才以上]
北NZ   40.0
USA    49.7
Sweden 27.9
注1: 男性 1.4/万人, 女性 1.0/万人 (統計学的には有意な性差なし)
(以下の注2-3は引用論文およびメタ解析データより)
注2: 初回手術不成功例であっても手術数として合計しているので、頻度が高くなっている可能性あり。
注3: スウェーデンにおける一連の報告をメタ解析したデータ。60才以上では、北ニュージーランドや米国より発症頻度は低い。
方法:
前向き調査。データ収集期間は 1997/6 から 1998/5 の1年間。実際の受診時期は 1997年5月から1998年4月。
北ニュージーランドには 120万人が住む。
採用基準 (除外基準)
RRD の定義: 液化硝子体が網膜下腔に入り込んで剥離している面積が少なくとも 2乳頭径 DD となっている網膜内の裂孔。
外傷、網膜剥離、網膜裂孔の既往があってもよい。
眼内手術歴も含む。
糖尿病で見られるような複合型の牽引を伴う裂孔原性網膜剥離は除外する。
黄斑円孔による限局性網膜下液も除外する。
原発部位の治療後4ヶ月以内に再発したケースは、手術不成功とみなし、別記録とした。
結果:
合計 141症例 146眼。女性 61例, 男性 80例。
全体的な頻度は 人口10万人当たり 11.8人 (95% 信頼区間 9.8-13.7)
年齢 5-96才 平均 53.9才 (標準偏差 19.6)
60代が最も多い (60代前半は女性が多く 59%、後半は男性が多い 65%)
全体的な男女比 1.3 : 1
RRD 発症前の眼外傷既往歴 16.4%: 大部分は重傷 (穿通性外傷、白内障創■開 [口+多]、眼球破裂)。外傷群の 87.5%は 50才未満であった (50才未満は RRG全体の 35.6%)。
外科的網膜疾患の既往歴: 13症例では、過去に同一眼の網膜裂孔のため治療を受けており、5症例は他眼の網膜裂孔を指摘されていた。12症例では、過去に同一眼に RRD が発症していた。9例は過去に他眼において RRD が発症していた。5例 3.5% は今回調査中、両眼性の RDD であった。
Tornquist らの報告 (スウェーデン, 1987)では、両眼性 RRD 11.2%であった。また、過去に同一眼の RRD 発症があった頻度は 6.4% と報告している (初回手術から6ヶ月以内に再発した症例は除外する基準)。今回の調査データは、それぞれ 3.5%, 8.2% となる。RDDの両眼性発症と再発は、予防的治療の有用性の議論に対する回答とはならないが、個々の患者のために自覚症状の知識の必要性を強調したい。
近視: -6.0D 以上を強度近視と定義した。33症例 23% は強度近視であった。
白内障手術歴: RRD を来たした患眼中 48眼 33% は白内障手術を受けていた。手術方法は超音波乳化吸引術 31眼、水晶体嚢外摘出術 11眼、不明 6眼であった。白内障手術後 RDDを来たすまでの期間は最長 38年であった。約半数は白内障手術後2年以内に RRDが発症し、これらの症例の75%は 12ヶ月以内であった。
リスクファクター(リスク因子 危険因子):
単変量解析法を行ったところ、若いときに発症するRRD earlier in life は 眼外傷、強度近視、白内障治療歴に関連していたが、性別の男性は無関係であった。
多変量 Cox 比例ハザード・モデル multivariate Cox proportional hazards model では、early RDD について、
眼外傷既往歴あり     4.1 倍 (95% 信頼区間 2.6-6.6 P=0.0001)
強度近視(-6.0D 以上) 1.9 倍 (95% 信頼区間 1.2-2.8 P=0.0024)
白内障手術歴あり    1.9 倍 (95% 信頼区間 1.3-2.7 P=0.0008)
性別は危険度とは無関係 (P=0.64)。
白内障手術例で手術合併症を有する15症例については、10例が手術後 2年以内に RRDを来たしている (3週から29年)。合併症がなかった白内障手術例との発症時期の比較では有意差なし (P < 0.05)。
手術合併症とは、眼内レンズの偏位、前房内硝子体ヘルニア、瞳孔偏位 peaked pupil、後嚢破裂、合併症有りと記載されたもの。
近視は、特発性 RRD において最も相対危険度の高いリスク因子と報告 (Eye Disease Case-Control Study Group) されているが、今回の調査では低かった。
上記の Olmstead County Study と International Cataract Surgery Outcomes Study では、有水晶体眼に比べて白内障術後に RRD発症リスクは 5.5-7.6倍高くなるとされているが、これら報告では手術合併症を有する白内障手術眼についての検討はない。

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2005/03/20 @ 17:47

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