evidence-based medicine

妊娠 出産 網膜剥離 糖尿病網膜症 感染性眼内炎

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妊娠中、出産前後に起こる重篤な眼病変として、
(1) 妊娠中毒症による 脈絡膜循環障害、循環障害に続発した 非裂孔原性網膜剥離
(2) 妊娠糖尿病による 糖尿病網膜症 の急性増悪
(3) 人工中絶 (流産)、出産に伴う全身感染症(敗血症)に合併した眼内炎 (下記論文参照)
などがよく知られています。
その他、
(4) HELLP 症候群 (Weinstein, 1982年: H-溶血, EL-肝臓酵素の上昇, LP-血小板数低下) とよばれるまれな妊娠合併症では、視力低下、皮質盲、網膜中心静脈閉塞、網膜出血、網膜浮腫、網膜剥離の報告がありますが、子癇前症や高血圧症を合併している妊婦にみられているようです。
産科で用いる医学用語の一部:
· 妊娠中毒症などにより全身痙攣を来たすと、子癇 (しかん eclampsia) とよばれます。子癇前症 (または、前子癇 preeclampsia ) とは、妊娠中毒症のことです。妊娠中毒症とは、「妊娠時の高血圧」に関連した症候群のことです。
· 出産のことを分娩 (ぶんべん) ともいいます。分娩後 (postpartum) 、母体が妊娠前の状態に戻るまでの期間 (約8週間) を産褥 (さんじょく) 期とよびます。この時期に性器・生殖器の細菌感染によって発熱すると、産褥熱 (さんじょくねつ) とよばれ、重篤な場合、産褥敗血症 (puerperal sepsis) です。
妊娠中、出産直後の眼内感染症は、医療先進国では、ごくまれな合併症ですが、発見、治療が遅れると、感染性眼内炎では失明し、生命にとっても非常に危険です。主に、発展途上国では桿菌やコアグラーゼ陽性球菌などの細菌によって起こりますが、まれな真菌感染症のケース報告2編の論文要約を邦訳し掲載します。
なお、国内では、横須賀の米軍病院での報告例 A群 β溶血連鎖球菌 による産褥敗血症 (帝王切開術後) の報告例があります (眼病変の記述なし. 出典文献のみ掲載)。
妊娠中のカンジダ性敗血症に対するフルコナゾール治療: 症例報告と文献レビュー
Infection. 1996 May-Jun;24(3):263-6.
Fluconazole in Candida albicans sepsis during pregnancy: case report and review of the literature.
Wiesinger EC, Mayerhofer S, Wenisch C, Breyer S, Graninger W.
Dept. of Internal Medicine I, University of Vienna Medical School, Austria.
妊娠中のカンジダ性敗血症はまれであるが、カンジダ アルビカンス Candida albicans による重篤な感染症の1つである。他の抗菌薬に比べて、妊娠中の抗真菌薬の全身投与については臨床使用経験がごく限られている。最近の報告ではアンフォテリシン B が注目されている。自験例では、中心静脈カテーテルによる高カロリー栄養剤と広域抗菌薬の投与後に生じた口腔・性器粘膜のカンジダ感染症とともに、カンジダ性敗血症、眼内炎を来たした妊婦症例を報告する。フルコナゾール 10 mg/kg fluconazole を妊娠第16週から50日間投与された。有害事象はみられず、妊娠後経過は母体、ベビーともに順調であった。
分娩後の内因性カンジダ眼内炎
J Formos Med Assoc. 2002 Jun;101(6):432-6.
Postpartum endogenous Candida endophthalmitis.
Tsai CC, Chen SJ, Chung YM, Yu KW, Hsu WM.
Department of Ophthalmology, Taipei Veterans General Hospital, Taipei, Taiwan.
カンジダ アルビカンス Candida albicans は、眼内の真菌感染症を起こす最も多い起炎菌である。しかし、非常にまれな感染症である。出産後の33才の症例は、5日前に視力低下を自覚し、血液培養にてC. albicansが検出された。眼底検査にて、硝子体混濁と境界不鮮明な網膜前白色病変を多数みとめた。全身検査にて、急性腎不全と心肥大がみられた。抗真菌薬の静脈内投与、硝子体手術、硝子体内への抗真菌薬注射により、全身および眼内の感染症は根治した。
分娩後遅れて発症し後腹膜病変を伴ったA群溶血連鎖球菌性産褥敗血症: 症例報告
Am Surg. 2004 Aug;70(8):730-2.
Group A streptococcal puerperal sepsis with retroperitoneal involvement developing in a late postpartum woman: case report.
Okumura K, Schroff R, Campbell R, Nishioka L, Elster E.
Department of Surgery, United States Naval Hospital Yokosuka, Japan.

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Written by support

2004/12/15 @ 12:35

カテゴリー: Uncategorized

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