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Archive for 10月 2004

特発性頭蓋内圧低下症 ( SIH )

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頭蓋内圧低下症は、低髄液圧症候群、脳脊髄液減少症ともいわれる。
最近、むち打ち症程度の軽い外傷であっても髄液が漏れ出すことがわかり、本疾患と診断された場合、従来からの硬膜外ブラッドパッチ(自家血硬膜外注入)治療が注目されている。
 参照ページ: http://www.yomiuri.co.jp/iryou/renai/20040505sr11.htm %5Bリンク切れ]
また、髄液漏出の原因が不明のとき、特発性頭蓋内圧低下症 (SIH) とよばれるが、起立性頭痛と神経視覚症状を呈する治療可能な病気の1つである。
■ 硬膜脳脊髄液漏による特発性頭蓋内圧低下症にみられる神経視覚系所見
Ophthalmology. 1994 Feb;101(2):244-51.
Neurovisual findings in the syndrome of spontaneous intracranial hypotension from dural cerebrospinal fluid leak.
Horton JC, Fishman RA.
Department of Ophthalmology, University of California, San Francisco 94143-0730.
「以下は主要な文章の邦訳で、理解しやすくするために文章構成を変更しました」
頭痛、読書困難、かすみ、羞明 (まぶしい)、一過性の霧視、複視 (ものが2つにみえる) の諸症状は、特に眼科的検査が正常であれば「眼精疲労」との診断になりやすい。キーポイントは、横たわることで改善し、立つことで悪化する頭痛である。特発性頭蓋内圧低下症 (SIH) はおそらく、一般的には他覚的な所見がないため誤診されたり、見落とされている。著者らによる文献レビューにより、神経視覚的な問題が SIH 患者の相当数に起こることが示唆された。特発性頭蓋内圧低下症 (SIH) は起立性頭痛と神経視覚症状を呈する治療可能な病気の1つである。
主症状: 起立時の頭痛 (横たわると、改善ないし消失する)
他症状: 嘔気、嘔吐、頚部硬直、回転性めまい、耳鳴り、聴覚過敏 (音が響いて聞こえる)
【眼症状を呈した3症例の提示】(詳細省略) 42才,女性。38才,男性。41才,男性。
脳重量は平均1500gであるが、脳脊髄液中で海のブイのように浮いているので、浮力を計算すると脳の重さは、わずか 48g となる。もし、脳脊髄液が外部に漏出し減少すると、脳は頭蓋底に置かれたようになり、いろいろな神経症状を来たす。
デリケートな髄膜や血管が圧迫、牽引されると、頭痛、頚部硬直、嘔気が起こり、横たわると、軽快する。
脊髄の神経根を囲んでいる硬膜鞘に小さな孔や欠損ができ、髄液がくも膜下腔から硬膜外腔へ流れ出す。神経根に存在する Tarlov 嚢 (硬膜が薄くなり、拡張している神経周囲組織)の自然破裂によって起こると考えられている。
診断方法: 腰椎穿刺による髄液初圧測定(症状を悪化させるので、他方法でSIHが疑わしい症例にのみ限定して行うべき), 放射線アイソトープ T12の漏出像, MRI検査。
MRIによる新知見と原因 (1991年以降の論文より): 脳幹の下降、扁桃ヘルニア、橋部 (basis pontis) の平坦化、脳皮質溝の消失、硬膜下水腫、硬膜下血腫、硬膜のびまん性肥厚と造影剤強調 (contrast enhancement)がある。これらの所見はCTでは検出困難である。
自験例: 2症例で、かすみ、一過性の霧視、非特異的周辺視野欠損がみられた。視野欠損は上鼻側象限に最も強く、下鼻側、上耳側にも起こる。硬膜外ブラッドパッチ治療により、視野障害は著明に改善し、一過性の霧視は消失した。周辺視野欠損については、患者本人は自覚していない。対座法でははっきり検出することは困難なほど軽度のものである。座位での検査に耐えられないので、今回 ハンフリー自動視野計(HFA) 120点スクリーニングプログラム (測定時間 わずか8分) を使用した。
発症機序: (MRI所見などによる推測) 視交叉部の圧迫、頭蓋内での視神経の圧迫や視神経血管のうっ血
自験例: 1症例で、第6脳神経麻痺 (外転神経麻痺)を来たしたが、MRI所見のとおり、脳幹の下方 ヘルニア (3-4mm)のため第6脳神経が伸展したか、橋槽の減少や脳幹部が斜台上に置かれたようになったため、第6脳神経が直接圧迫・屈曲し、軸索輸送が障害されたものと考えられる。
原因不明 (特発性) 例の報告:
(1938年-1993年. 自験例3症例を含むと 76例、女性 57, 男性 19名となる)
初めての報告例 ⇒ Schaltenbrand G (1938年): 30才、女性。腰椎穿刺による髄液圧(初圧) 40 mmH2O。
他の論文報告例 73例
眼症状について言及したもの: 17/73症例
複視(ものが2つにみえる)、一過性視力障害、かすみ、眼振、羞明(まぶしい)。
複視の原因は、両側ないし片側の第6脳神経麻痺によるものと特定されていないものがある。
頭蓋内圧低下症の原因として、
·脊髄麻酔, 診断のための腰椎穿刺 (髄液検査), 髄液造影などのとき、硬膜の小孔からの髄液漏出
·外傷、腫瘍、手術による鼻漏、耳漏 (髄液漏出)
訳者注: 最近、むち打ち症も原因であることがわかった
腰椎穿刺後の頭蓋内圧低下症による眼症状:
Abouleishら (1975年)の報告: 発症頻度 10% (激しい頭痛を呈した118症例中)
Vandam LD & Dripps RD (1956年)の報告: 発症頻度 0.34% ( 34/10,098症例)
複視、かすみ、読書困難、羞明、飛蚊症様の症状、目の焦点が合わない。

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2004/10/31 at 14:52

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FDT: 感度 85%, 特異性 90% (早期緑内障)

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新しい自動視野計およびアルゴリズムの有用性について
Ophthalmology. 2002 Dec;109(12):2362-74.
Automated perimetry: a report by the American Academy of Ophthalmology.
Delgado MF, Nguyen NT, Cox TA, Singh K, Lee DA, Dueker DK, Fechtner RD, Juzych MS, Lin SC, Netland PA, Pastor SA, Schuman JS, Samples JR; American Academy of Ophthalmology. Ophthalmic Technology Assessment Committee 2001-2002 Glaucoma Panel.
目的:緑内障を診断したり病気の進行を検出する新しい自動視野計およびアルゴリズムの有効性について総括し、評価する。
方法:1994年から2001年にかけて発表された自動視野計に関する引用文献300編余りの中から71編を選択し、評価対象とした。これら研究から得られたエビデンスの質は、統計学者によって解析された。
結果:SWAPを除いて、以下の検査法やアルゴリズムは、従来の全閾値検査に比べて検査時間を短縮し、患者の検査一貫性をよくする。
【 Short wavelength automated perimetry SWAP
スタンダード閾値自動視野計より早期に視野欠損を検出した。感度 88%、特異性 92%。しかしながら、スタンダード閾値自動視野計に比べて、検査時間が長いデマンド型検査で、眼内透光体の混濁による影響を受けやすく、経時的な検査での変動幅 (long-term fluctuation) が大きく、よって病気の進行度を正確に評価することは困難である。
【 frequency doubling technology perimetry FDT
中等度および進行した緑内障の検出に関しては、感度・特異性ともに97%以上と優れていた早期緑内障では、感度 85%, 特異性 90% であった。本検査は検査時間も短く、かすみや瞳孔サイズによる影響も少ないので、有用なスクリーニング装置かもしれない。
【 high-pass resolution perimetry HPRP
縦断的研究にて、対象患者の54%において、中央値 12ヶ月より早く視野異常の進行を検出し、スタンダード閾値自動視野計に比べて進行性視野欠損のモニターにより有効であった。
【 Motion automated perimetry MAP
縦断的研究にて、早期の緑内障視野欠損の検出に有用であることがわかった。
【 アルゴリズム: Swedish interactive threshold algorithm SITA
スタンダード全閾値検査に比べて、感度、再現性に優れ、検査毎の変動率は少なかった。また、検査時間は 50%短縮された。スタンダード全閾値、SITA、SITA fastの3つのアルゴリズムを比較した研究では、感度は前2者で 95%、SITA fastで93% であった。緑内障進行の検出度を評価するために、長期経過を観察した研究が必要である。
(ここまで)
==
frequency doubling technology perimetry (FDT) 「ハンフリー FDT スクリーナー」については、
http://www.cisnet.or.jp/~fujiwara/examine/kiki/about_fdt.html
などを参照して下さい。

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2004/10/29 at 13:35

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むちうち 頭蓋内圧低下症 脳脊髄液減少症 眼症状

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頭蓋内圧低下症は、低髄液圧症候群、脳脊髄液減少症ともいわれる。原因不明の場合、特発性頭蓋内圧低下症 (SIH) などと呼ばれる。最近、むちうち症程度の軽い外傷であっても髄液が漏れ出すことがわかり、本疾患と診断された場合、従来の硬膜外ブラッドパッチ治療が注目されている。
参照ページ: http://www.yomiuri.co.jp/iryou/renai/20040505sr11.htm [リンク切れ]

脳脊髄液減少症、頚部捻挫(むちうち症)は、ともに眼症状を来たす。
脳脊髄液減少症による眼症状は、かすみ、視力低下、一時的な霧視、非特異的周辺視野欠損、第6脳神経麻痺(外転神経麻痺)、複視(ものが2つにみえる)、眼振(眼球が揺れる)、羞明(まぶしい)、読書困難、飛蚊症様の症状、目の焦点が合わないなどであり、SIH患者の10~20%に出現するようである。患者本人の血液(血のり)で漏孔を塞ぐブラッドパッチ治療などにより髄液圧が回復すると、症状は完治ないし改善する。

頚部捻挫 (むちうち症)による眼症状として、Burkeらは下記論文において、25.6% (10/39症例中)に眼症状がみられ、主な症状は輻輳障害と調節力の障害によるものであったとしている。以前からよく知られている頸部交感神経節の障害による自律神経障害(ホルネル症候群)はなく、他論文においてもまれであった。輻輳・調節力障害の原因は今だ充分に解明されていないが、脳幹部レベルの異常ではないかといわれている。他に、上斜筋麻痺、立体視機能の低下、両眼の後部硝子体剥離を来たしたケースがあり、9ヶ月以内に2例を除いて、症状は完全に消失している。改善しなかった1例は、後部硝子体剥離のケースで、眼内の硝子体混濁による飛蚊症が続いている。実際臨床では、眼科未受診で自然治癒する軽症のケースも多いので、眼症状は一般的に軽症で経過も良いことが多いと考えられている。

■ むちうち症 (Whiplash)による視覚系への影響
邦訳ページ
  エントリー「Whiplash 頚部捻挫 むちうち症 と眼症状」
» http://www.qqiac.com/2004/11/whiplash__24b5.html
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 1992;230(4):335-9.
Whiplash and its effect on the visual system.
Burke JP, Orton HP, West J, Strachan IM, Hockey MS, Ferguson DG.
Department of Ophthalmology, Royal Hallamshire Hospital, Sheffield, United Kingdom.

■ 硬膜脳脊髄液漏による特発性頭蓋内圧低下症にみられる神経視覚系所見
邦訳ページ
  エントリー「特発性頭蓋内圧低下症 ( SIH )」
» http://www.qqiac.com/2004/10/_sih__8059.html
Ophthalmology. 1994 Feb;101(2):244-51.
Neurovisual findings in the syndrome of spontaneous intracranial hypotension from dural cerebrospinal fluid leak.
Horton JC, Fishman RA.
Department of Ophthalmology, University of California, San Francisco 94143-0730.

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2004/10/22 at 16:58

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インフルエンザウイルス ワクチン

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米国食品医薬品局FDAの評価と解説(日本語訳)をお知らせいたします。
■ インフルエンザ ワクチン (FDA安全性情報に含まれる商品名)
Agrippal SI, Fluarix, Inflexal berna V, Influvac 200/2001, Vaxigrip, FluMist, FluShield, Fluvirin, Fluzone, Fluviral, Fluviral S/F
リスク分類「C」
動物実験では、胎児に副作用と毒性がみられます。
妊婦を対象とした充分な比較臨床試験は行われていません。
本薬剤は、胎児に対するリスクよりも有益性が上回るときのみ使用すべきです。
インフルエンザウイルス influenza amxovirus の抗原を含む不活化ワクチンです。
【胎児へのリスク】
妊娠中にインフルエンザウイルスに感染すると、流産の原因となります。
ヒトに関する充分なデータはなく、胎児に対するリスクも不明です。本ワクチンは、重症の基礎疾患を有する妊婦への投与を推奨します。妊娠後期にワクチン接種を受けると、新生児は短期間だけ受動免疫を獲得することが報告されています。
【授 乳】
データがありません。
カテゴリ「A-X」については、
http://doc.s73.xrea.com/category/drugs/2004/08/coeee.html
のリンク先でご確認下さい。
FDA: A, B, C, D, X
TGA: A, B1, B2, B3, C, D, X

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2004/10/19 at 13:17

カテゴリー: 妊娠、授乳とクスリ

Polypoidal choroidal vasculopathy ポリープ状脈絡膜血管症

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約20年前に命名され、ICG赤外蛍光眼底造影などの検査法の普及により、新たな1つの疾患単位として確立し、国内でも報告例が増加している目の病気です。

Polypoidal choroidal vasculopathy (or, polypoid choroidal vasculopathy PCV )
「ポリープ状脈絡膜血管症」の総説論文の内容は以下のとおりです。なお、本論文では、著者らは1983-2002年の20年間における発表論文の検索 (Medline) を行っており、米国、日本、中国、アイルランド、フランス、ドイツ、イタリアからの報告例が紹介されています。本論文発表後、台湾、スペイン、ギリシャからPCV症例の報告がありました (訳者がPubMedを利用し、Medline検索しました)。

Surv Ophthalmol. 2004 Jan-Feb;49(1):25-37.
Polypoidal choroidal vasculopathy.
Ciardella AP, Donsoff IM, Huang SJ, Costa DL, Yannuzzi LA.
The LuEsther T Mertz Retinal Research Center, Manhattan Eye, Ear and Throat Hospital, New York, New York 10021, USA.

【PCV報告】
Yannuzzi LA. (1982): idiopathic polypoidal choroidal vasculopathy (IPCV) と命名.
Kleiner RC. 他 (1984): "後部脈絡膜出血症候群" として報告。
Stern RM, 他 (1985): "黒人婦人に発症した多発性再発性網膜色素上皮剥離"として報告。

病理像
脈絡膜内層の静脈系の異常。菲薄化した血管壁を有する拡張血管がある。血管瘤の集合体となったり、拡張した管状構造を形成し、病変が拡大すると、臨床像として「大きな赤橙色の網膜下腫瘤 (reddish-orange subretinal mass)」を呈するようになる。ICG赤外蛍光眼底造影検査では、脈絡膜内層から網膜外層に向かって突出した多発性のポリープ状(polypoid)所見となる。

臨床像
【特徴的所見】
視神経乳頭周囲や黄斑部網膜にみられる。
拡張した脈絡膜血管網を形成する。
 血管網の末端はオレンジ色の膨隆した楕円形ポリープ状の拡張所見を呈する。

【随伴所見】
再発性網膜下出血、硝子体出血がみられる。
線維性瘢痕病巣は比較的少なく、網膜血管には異常所見がなく、病的近視や眼内炎症の所見もない。
PCVに続発した慢性黄斑部網膜剥離のため網膜毛細血管症を来たした症例がある。

【両眼性疾患】
片眼にPCVを発症した症例のほとんどは、最終的に他眼にも同様の所見を来たす。しかし、数例では10年以上経過観察しても、他眼に発症していない。

※訳者注:人種や経過観察期間によって異なる。日本人、中国人を対象とした報告では、片眼性が多い。

【年 齢】
診断時年齢は、50才~65才が多い。
平均年齢 60.1才 通常、白人では、より高齢発症である。
発症年齢 20才代~80才代。

【性 別】
圧倒的に女性に多い。女性:男性 = 4.7:1

※訳者注:人種によって異なる。日本人、中国人を対象とした報告では、男性が多い。

【人 種】
アフリカ系アメリカ人、アジア人種に多い。
白人では、occult CNVを有する374眼中 14眼 (4%)は PCVと診断された (ICG赤外蛍光眼底造影検査にて)。滲出型加齢黄斑変性を有する白人患者の 8-13%に PCV が発見される。大きな出血と滲出性感覚網膜剥離を呈しドルーゼのない症例では、PCVはその原因の85%を占めるとの報告もある。
日本人では、色素上皮剥離と脈絡膜新生血管を伴う 164眼中 58.5%に PCVが発見されている。特に、出血性色素上皮剥離であれば、PCVの発見頻度は 70%となる。さらに、男性が多く (69%), ほとんどが片眼性 (91%) であり、平均年齢 (65.7才) も高齢化しているとの日本人を対象とした調査報告があり、中国人も男性、片眼性が多い。

【ポリープ様血管】
大きさ:大、中、小と分類する。脈絡膜血管板内での発生部位がより外側であれば大きくなり、中間部であれば小さい。
部位:視神経乳頭周囲が多い。黄斑部網膜の中央や周辺中間部網膜にも発症する。片眼において単発、多発する。

【自然経過】
しばしば、寛解-再発の経過となる。臨床的には、慢性、多発性、再発性の漿液血性剥離 (網膜色素上皮および感覚網膜) を伴い、視力は長期間にわたり保たれる。
漿液血性黄斑網膜剥離を繰り返しても、「加齢黄斑変性」の末期にみられる明瞭な線維性増殖を来たすことはない。
中心窩に慢性萎縮やのう胞変性を伴うと、視力低下は高度となる。他に、硝子体出血、円板状瘢痕、中心視力低下のケースもある。
2年間経過観察のみ行った日本人 12症例14眼では、半数は良好な経過であり、残り半数は出血をときどき来たし、黄斑変性、視力低下に至っている。

【全身疾患】
PCVの発生・進行因子: 高血圧、後天性網膜血管瘤(関連性に否定的な見解あり)
鎌状赤血球症、視神経乳頭メラノサイトーマの合併例あり。

【診断法、鑑別診断】
邦訳は省略します。

【治療法】
PCV に対する治療法は未だ確立されていない。
■ 中心視力低下を来たすような持続性、進行性の滲出性変化がなければ、経過観察にとどめる (論文著者の推奨)。
■ 造影剤の漏出所見のあるケースでは、熱エネルギ-を発生する従来タイプのレーザー装置による治療にて漿液血性病変の吸収・改善が得られるかもしれない。
■ 手術治療: 出血例では、多くのケースにおいて中間透光体の混濁除去と視力回復のために硝子体手術が必要となる。黄斑下出血に対する手術成功例 (解剖学的成功) が報告されている。しかし、黄斑下手術の価値については、加齢黄斑変性症では再発と視力改善度が不良であることから、疑問視されている。黄斑移動術も治療候補の1つであるが、多くのケースでは PCVが比較的広範囲であり、本手術は重篤な合併症が多い。
■ 経瞳孔温熱療法 (transpupillary thermotherapy): 加齢黄斑変性の occult CNVに対する有用性はあるかもしれないが、PCVに対する効果は不明である。
■ 半導体レーザー光凝固術の有効例があった。
■ 低用量の外部放射線照射では、有益性、有害性ともに著しい結果はなかった。対照的に、加齢黄斑変性症のため本治療を受けた後、PCV 様の血管病変を来たした症例があり、放射線照射は PCVの誘因となる可能性が報告されている。
■ 中心窩下 PVC に対して、加齢黄斑変性の治療法「Verteporfinを用いる光線力学療法 (PDT)」が有効であったとの報告 (Quarantaら,2002年)および私信 (Spaide RF.) はあるが、比較臨床試験は行われていない。
※訳者注:PDTの解説ページ
http://infohitomi.biz/archives/000018.html

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2004/10/17 at 17:52

カテゴリー: 血管新生