evidence-based medicine

第一次硝子体過形成遺残の手術成績

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Reese(1955年)は、第一次硝子体過形成遺残(PHPV)の症例についての詳細な報告を行い、治療を行わないと再発性硝子体出血、続発性緑内障を来たし眼球萎縮に至ることが多いと述べた。その後、他の研究者から自然寛解例の報告も行われてはいるが、眼球の形態維持のためには症例を選択した上で手術を行うことが今日でも推奨されている。

手術対象症例の多い下記臨床報告2編を要約し、お伝えいたします。
【論文1】
Ophthalmology. 1999 Feb;106(2):280-4.
Surgical results of persistent hyperplastic primary vitreous.
Dass AB, Trese MT.
William Beaumont Hospital, Royal Oak, Michigan and Eye Research Institute, Oakland University, Rochester, USA.

(論文を読んで注目すべきところ)1980年代から1990年代前半の手術方法による成績であること。対象症例として、両眼性や全身合併症を有するPHPV症例の比率が多いようである。

【論文2】
J AAPOS. 2002 Apr;6(2):92-9.
Unilateral persistent hyperplastic primary vitreous: course and outcome.
Anteby I, Cohen E, Karshai I, BenEzra D.
Pediatric Ophthalmology Unit, Hadassah University Hospital, Jerusalem, Israel.

(論文を読んで注目すべきところ)片眼性の第一次硝子体過形成遺残症例の非手術、手術後経過が詳細に調査されている。20ヶ月~20年間経過を観察した89症例(89眼)中、4人中1人が最終矯正視力 0.1以上であった【24.1%(21/87眼)】。手術の適応などに関して症例のランダム割付は行われていない、後向き臨床調査である。眼内レンズ挿入術の利点などについての考察がなされている。

【論文1】
1982年から1994年にかけてPHPVと診断された27症例35眼について。
8症例16眼は両眼性、19例19眼は片眼性。
手術時期:新生児期~7歳。
35眼中29眼で手術が行われた(経過観察期間2ヶ月~12年)。
症状:白色瞳孔(14例), 小眼球(4例), 斜視(4症例), 視力低下(3例), 眼振(1例)など。全身合併症は6症例にみられた。
3症例4眼は術前VEP(視覚誘発電位検査)で応答がなく、眼病変も高度であったため、手術を行わなかった。
35眼中、前眼部型2眼、後眼部型8眼、混合型24眼(68.6%)。
29眼で手術が行われた。
前眼部型2眼:前部硝子体切除および水晶体摘出術
後眼部型8眼および混合型19眼:
  硝子体切除および水晶体摘出術 24眼
  他手術法 3眼
初回手術時、24眼(68.8%)で水晶体摘出術と硝子体手術を行った。
再手術は32.3%に行われた。手術目的は線維増殖、緑内障、硝子体出血、網膜剥離、斜視など。
術後最終矯正視力は(0.3)から(光覚なし)であった。29眼中6眼で視力0.025以上が得られた。
内訳(括弧内は眼数)
 0.3程度 (1)
 0.1 (1)
 0.05 (2)
 0.03程度(1)
 0.025 (1)

 指数弁 (1)
 手動弁 (5)
 光覚 (4)
 不確実な光覚 (7)
 光覚なし(4)
 視力安定(2)

0.025以上の術後視力が得られた6眼(35眼中では17%)は、網膜の形成異常を合併していたが、視力は経過観察中に維持できた。

【論文2】
症例数:89症例(M37,F52)
手術時期:1984~1999年
受診時年齢:0歳~9歳
症状:全例に白内障と小眼球が見られている。
病型:前眼部型 32.5% 後眼部型 31.4% 混合型 33.7%
治療法:
【手術】水晶体摘出および胎生期遺残硝子体摘出(症例により眼内レンズIOLを挿入)
 61眼(68.5%) 
   IOL有り 30眼
   IOL無し 31眼(術後コンタクトレンズによる矯正。困難なとき、メガネを半日使用(+健眼遮蔽))

【経過観察のみ】
 28眼(31.5%)
経過観察期間:20ヶ月~20年(中央値4年、平均値 6.3年)

美容的評価⇒:高度の小眼球、緑内障による眼球拡大 角膜白斑(内皮代償不全ないしCa沈着)、白色瞳孔の症例

手術時年齢:生後2週~9年(中央値 生後6ヶ月、平均値 1.2歳)

■ 最終診察時視力(以下の視力はすべて矯正視力)
全体(87眼中) 視力 0.4以上 12.6% 0.1以上 24.1% 光覚なし 29.9%

手術症例(眼) 視力 0.4以上 15.0% 光覚なし 26.7%
     IOL有り  視力 0.1以上 33.3% 光覚なし 10.0%
     IOL無し  視力 0.1以上 16.7% 光覚なし 43.3%
非手術例(眼) 視力 0.1以上 22.2% 0.4以上 7.4% 光覚なし 37.0%

統計学的な有意差:
光覚(-)の症例の頻度はIOL有りで少ない(P=.009)。

■ 病型別の最終視力比較

前眼部型   視力  0.4以上 17.8% 0.1以上 25.0%
後眼部型   視力  0.4以上 17.2% 0.1以上 44.8%
混合型     視力  0.4以上  3.3% 0.1以上  3.3% 光覚なし 53.3%

統計学的な有意差:
光覚(-)の症例の頻度は混合型に多い(P=.001)。

■ 病型別の非手術眼の内訳

前眼部型 10.7%( 3/28眼)
後眼部型 53.3%(15/28眼)
混合型  35.7%(10/28眼)

■ 眼内レンズ(IOL)挿入術

IOL有り   前部型 50.0% 後部型 26.7% 混合型 23.3%
IOL無し   前部型 35.5% 後部型 45.1% 混合型 19.3%
非手術眼     前部型 10.7% 後部型 53.5% 混合型 35.7%

■ 合併症 

緑内障(72眼中)
手術症例(眼)   16.4%(9/55眼)
     IOL有り     8.3%(2/24眼)
     IOL無し    22.6%(7/31眼)
非手術例(眼)    11.8%(2/17眼)

網膜剥離(89眼中)
手術症例(眼)   14.8%(9/61眼)
     IOL有り     3.4%(1/30眼)
     IOL無し    25.8%(8/31眼)
非手術例(眼)   10.7%(3/28眼)

統計学的な有意差:
全経過中の網膜剥離の発生頻度はIOL有りで少ない(P=.003)。

後発白内障
  IOL有り    31.0%(9/30眼)
  IOL無し    25.8%(8/31眼)

追加手術  手術数合計43回
 斜視手術が最も多く、他に後発白内障、緑内障、網膜剥離の手術を行った。

● 眼球摘出術(ないし、眼球内容除去術)は

  IOL有り       0%(0/30眼)
  IOL無し    16.1%(5/31眼)

統計学的な有意差:
眼球摘出術(ないし、眼球内容除去術)はIOL有りで少ない(P=.003)。

● 美容的評価 (劣)の症例数

手術症例(眼)   27.9%(17/61眼)
     IOL有り    16.7%( 5/30眼)
     IOL無し    38.7%(12/31眼)
非手術例(眼)   35.7%(10/28眼)

統計学的な有意差:
義眼の処方についてはIOL無で有意に多かった(P=.003)。

          以上

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2004/05/27 @ 21:45

カテゴリー: 硝子体

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